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書店をふらふら歩いていると、偶然思わぬ発見をすることがある。その本が当たりであれば得した気分にもなれるものだ。

今回紹介したい本はそんな偶然から発見した本「毒草大百科」である。名前からして怪しげな本を今日は見てみようと思う。




目次

  1. 「人を死に至らしめる植物」
  2. 「人を狂わせる植物」
  3. 「人を苦しめる植物」
  4. 「個性的な毒を持つ植物」
  5. 「毒草栽培のための知識と設備」
  6. 「毒草を利用する」
  7. オススメ度

「人を死に至らしめる植物」

内容に入る前にまず帯を見て欲しい。
そこには「毒草の入手法、栽培法、利用法―全ての毒草を写真や図で解説―」とあるのだ。これを見て買わずにいられるだろうか? おバカ本なのか、至極真っ当な本なのか? というか、「利用法」ってなんだよ、と(しかしながらミステリーの創作には使えるかもしれないが)思わず突っ込みが入る。

この本は6章構成となっている。それぞれの章から気になったものを一、二個抜き出してみようと思う。

「彼岸花」
個人的には日本で一番人を殺害した植物なのではないかと思っているこの彼岸花。秋になると美しい花を咲かせるこの植物、実は毒がある。しかしながら日本では飢饉の際の非常食として用いられていた歴史があるのだ。いわば最後の砦である。含まれる毒の多くが水溶性のため念入りに下ごしらえをすれば食べられないことはないのだが、十分でなかったりなどで死に到るケースが多かったようだ。

さて本書での見どころはやはり「入手方法と栽培方法」だ。これが面白い。
入手方法は園芸店での購入である。そう、買えてしまうのである。「8~9月は赤い花の品種なら球根三つで600円前後」と値段まで教えてくれているあたり非常に親切である。しかも「白やピンクなどの珍しい色の場合は1球で500円となる」となるらしく、値段は高いが奥井氏はこちらをオススメしている(ん?なんの本だっけ?)ちなみに採取する場合は5月に球根を痛めないように採取するのがベストらしい。

栽培方法はというとなんと丈夫なので栽培は簡単とのこと。そう、素人でも簡単に栽培できてしまうのである。さらに鉢替えのタイミングや栽培のポイント、肥料の有無なども詳しく説明されており大変心強い。

ちなみに中毒症状は嘔吐・悪心・下痢・脱水ショックなどである。

「人を狂わせる植物」

「ベニテングタケ」
この「人を狂わせる植物」の章は大変面白い章で、ヤバさもMAXなのだが、比較的内容が安全であったこちらを見てみよう。
「毒キノコ」と言えばやはりこの「ベニテングタケ」か「カエンタケ」を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。見た目が「あのスーパーキノコ」にそっくりである。またディズニーの映画などにもこの赤と白の可愛らしいキノコはしばしば登場している。

入手方法は残念だが店舗に置かれることはないかつ、今回はキノコというだけあり個人での栽培は難しいので自然の恵みを待つのがベストとのこと。しかし、自生地で有名な場所を掲載してくれている。
またこれは有名な話でもあるが、毒キノコは旨味成分を多く含むものが多い。そしてこの「ベニテングタケ」も例外ではなくグルタミン酸の20倍の旨味成分を持つイボテン酸が含まれている但し毒物である)。どうやら海外では酒に漬けて薬用として飲む場合もあるようだ。

またトリップを楽しみたい場合の調理方法の諸注意や、どれだけ食べたら死ぬかの本数の目安まで掲載されている。症状としては失調・昏迷・錯乱・幻覚・麻痺など。

「人を苦しめる植物」

「ジャガイモ」
様々なものに加工され皆に愛されている「ジャガイモ」。去年の台風の影響で今年はジャガイモの収穫が減り、ピザポテトなどが店頭から消えてしまった。

そんなジャガイモであるが、入手方法はやはりスーパーである。値段もしっかり記載されていて面白い。
また栽培するならスーパーのジャガイモではなく、園芸店で販売されている「種芋」にせよとのアドバイスも嬉しい。栽培方法に関しては「小学生の時のことを思い出せ」と一言。しかし、多くジャガイモを収穫するためのコツなども記載されており、自宅でジャガイモを栽培しようと言う人は一度読むべき本だろう。

ジャガイモの芽が毒だ、という話は皆知っていることだろう。しかし奥井氏が警告するように、ジャガイモの芽の毒性を熟知している人は少ないのではないだろうか?
保有する毒の成分はソラニン。主にジャガイモから出る芽に含まれている。その中毒症状は恐ろしく、嘔吐・下痢・食欲減退・呼吸困難・昏睡などから死にいたることもある。

この問題の「芽」であるが、ずぼらな人なら経験があるかと思うがほったらかしにしておくと勝手に生えてくる。なので容易に採取できる。 また、日光に良く当てるとよりよいソラニンが形成されるらしい。だが安心して欲しい。ソラニンは熱で簡単に分解されてしまうのだ。

「個性的な毒を持つ植物」

ここでも様々な植物が紹介されている。
驚きなのが「ポインセチア」の発がん性というもの。茎や葉を傷つけたときに出る白い乳液に「フォルボール」が含まれているとのこと。

この「フォルボール」は水ぶくれや炎症を起こすだけと考えられてきたが、研究の結果発がん性作用があることが判明したそうだ。理論的には「焦げた焼き魚を食べた後、デザートにポインセチアを食べればガンになる」とのこと。

「毒草栽培のための知識と設備」

本書の最大の見どころであるのがこの章だ。
私は現在市販の種からアボカドを育てている最中なのだがこの章の内容は非常に役に立つ。奥井氏の植物栽培への情熱が見てとれる。

特に「用土の種類と特徴」は必見だ。8ページに渡り、土の成分から利点と欠点をあげ組み合わせなどを書き連ねている。さらに市販されている培養土が植物に合っているかどうかきちんと調べることと読者には念押し。オリジナルの培養土の作り方なども載っており園芸初心者には非常にためになるものである。

また植物の病気やその対処法、害虫駆除の方法も細かく記載されている。

「毒草を利用する」

利用方法についても勿論記載がある。
利用するための抽出方法や作成方法(煎剤・青汁・酒剤・浸剤・散剤・塗布剤・入浴剤)などであるが、その作業の時の注意点も細かく書いてあり、面白く読める。

オススメ度

オススメ度★★★☆☆
面白さ★★★☆☆
by カエレバ
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