system-825314_1920
国際情勢の緊迫が続く中、そんなことはほとんど報道せずに内閣支持率を下げようと必死になっているように感じるのは私だけだろうか。

とりわけ「加計学園」の偏向報道っぷりは酷さを増しているようである。
ただワイドショーやマスコミの報道だけを見ている人で「獣医学部新設を前向きに検討しだしたのが鳩山政権時代」つまり「民主党政権下」の出来事であると認知している人はどれだけいるのだろうか?

ちなにに自民党政権下でも提出されたがどちらも却下されている(福田・麻生内閣時)
こんな偏向報道をするマスコミひいてはマスメディアは本当に今の時代に必要なのだろうか?今日はそんな疑問を解決してくれるかもしれない本、「うわさが走る・情報伝播の社会心理」を見てみようと思う。




目次

  1. 歪められたうわさのイメージ
  2. うわさを研究する
  3. おしゃべりとしてのうわさ
  4. うわさの管理――企業とうわさ
  5. ニュースは誰が運ぶのか――マスメディアの終焉
  6. 電子メディア社会のうわさ
  7. オススメ度

歪められたうわさのイメージ

まず本書は最近出た本ではない。
初版は1997年。よって所々古いと思われるかもしれないがそこはご容赦願いたい(特にネット社会)

まず「うわさ話」と聞いてどんな想像をするだろうか?ネガティブだろうか。それともポジティブなイメージを持つだろうか。おそらく多くの人がネガティブなイメージ、つまり「うわさはうわさであって真実ではない」という立場に立つのではないだろうか。

しかしながら本書は『うわさは送り手、受け手両者のいる現実に即した、ある真実を伝えるメディアという立場』に立つ。

さらにまた『パーソナル・コミュニケーションの典型であるうわさこそ、主要なチャネルなのだ』という。

そしてその狙いは、個人の発信能力が低く評価されてきたことへの見直しにある。情報発信者としての我々自身を「うわさ」を通してもう一度考え直すというのである。

今はテレビ・新聞だけでなく、ネットでも様々な情報を得られるようになった。また個人のブログやツツイッターなどでも様々な情報が交錯している。さらに口コミでの勢い・拡散力は凄まじい影響力を持ってきているようである。

「どうしても伝えたい」と思ったものを人に伝えるコミュニケーションプロセスを「うわさ」とする。とすると「うわさ」こそ現代社会の情報発信のメディアと言ってもいいのではないだろか?

うわさを研究する

本書はうわさを三つに定義している。
・社会情報としてのうわさ(流言)
・おしゃべりとしてのうわさ(ゴシップ)
・楽しみとしてのうわさ(都市伝説)


ではこれらの「うわさ」を誰が広めていくのだろう?うわさは伝えた人が次の人へと伝えなければそこでストップしてしまう。「うわさ」が広がりを見せるためには伝える人も重要であるようだ。

しかしどのような人が「うわさ」を広めていくのだろう?
これには一貫した結果があるようで「不安傾向の強い人」なのだと言う。

またどのような「うわさ」が伝達されやすいのだろうか?これは
・信用できるうわさ
・ネガティブなうわさ(〇〇の値上がり・消費増税など)
・恐怖流言(不安を喚起させるうわさ)

がより伝達されやすいようだ。これは自分のブログやツイッターを少しでも広めたいという人にとっても役に立ちそうである。

そしてもっとも重要な要素、それが「あいまいさ」なのである。
明確な情報よりもどこかあいまいな情報の方が憶測を呼びやすい。

これこそ「加計学園問題」を例とすると考えやすい。つまり
「安倍首相の友人が理事を務める学園に獣医学部の新設が突然認められたらしい」という「うわさ」に「あいまいさ」が加わりこの「うわさ」は急激な広がりを見せているのである。

だがここで注意したいのは、この「あいまいさ」を我々に植えつけているのはどこなのか?ということなのである。ネット上を探せばいくらでもあいまいさを払拭できるような情報は出てくる。しかしそれを意図的にか、あるいは意図せずにかは不明だがマスコミは報道しようとしない。

この「うわさ」の伝達率の方式をマスコミが知らないはずはない。
「あいまいさ+うわさ」の伝達率の高さは本書で語られるシャクターとバーディツクの実験によっても明らかとなっている。とするとこれはマスコミによる世論操作であろう。

ちなみに本書ではうわさの考え方を「R~a×a」と定式化している。
「人に伝える可能性~不安×あいまいさ」である。

おしゃべりとしてのうわさ

我々が普段イメージする「うわさ」はきっとここになるに違いない。そして誰もが経験しているはずだ。いわゆる「ゴシップ」である。

「ゴシップ好き」というと女性に多いイメージを持つかもしれないが、レビンとアリュークの実験では女性の会話の内74%、男性の会話の内64%がゴシップであったと報告している。数字で見る限りではほとんど差はないと言っても良いようだ。

ちなみにゴシップとは
「ある人の資質や行動についてのその場の意見であり、多くは人から聞いたことにもとづいている。自分との関わりでは、取るに足りないし、とくに重要というものではない」と定義されている。

だからこそ芸能人のゴシップネタには週刊誌が飛びつくし、我々もネットや休み時間などにその話題で盛り上がったりするのである。

また「ゴシップ」は社会的制裁の意味を持っている。
本書でも『自分たちのやり方とちがうやりかたをとる人々、自分たちと一緒に行動しようとしない人々に対して、いってみれば、いやがらせをしている』と述べている。
また『裏で悪口を言うことによって、逸脱した行動を批判しているわけです。このことを通して、じつは、自分の所属する集団が共有している規範が述べられたり、規範の再確認がされるプロセスでもあるのです。このようなゴシップの交換は、個人の集団規範への同調をつくりあげるものとして機能していることは言うまでもありません』という。

例えば不倫をしてゴシップネタとなり炎上した芸能人Aがいたとする。
そこでネットでも盛り上がる。これに対してAの友人Bが庇ったため炎上した。

上の機能を見てみると、このBが炎上するのは当然だということが分かるだろう。なにせ「集団行動内の規範・道徳を再確認し、同調を作り上げていく」という作業中に集団の和を乱すような真似をしているわけである。

また「文句があるなら直接言え」と様々な芸能人が言っているが、ゴシップの定義の一つに「当人の不在」という条件がある。なので当人の前ではゴシップが成立しないのである。いないから様々なことが言えるのだ。なのでこれまたお門違いの文句と言える。

芸能人という立場上、様々な人から絡まれてストレスも溜まるのだろうがそれこそ「嫌なら辞めて」しまえばいいのである。一週間もすればほとんど記憶から忘れ去られるだろう。

本書はまさに芸能人の必読書と言えるだろう。

うわさの管理――企業とうわさ

また忘れてならないのが「企業のうわさに対する対処の仕方」だろう。
一歩間違えればネットが発達した現在ではすぐに破滅が訪れる。

自社に否定的な噂が広まってしまった場合の対処を企業はどのように考えているのだろうか?
この章には企業がうわさの被害をこうむった場合の対処方法はどのパターンが一番よいのか?ということが述べられている。
先ず一つ目が「否定戦略」
これはうわさそのものを否定する「攻撃的な戦略」だ。しかしここで重要なのは「うわさの内容をどれほど明確に否定できるか」だ。うわさの研究部分でも触れたが、少しでも曖昧なところが残ればたちどころに拡散してしまう恐れがある。事実一番効果が薄いとされている。

二つ目は「対抗戦略」
これは企業がいかに消費者のために有益な社会活動をしているかを積極的にアピールするという方法だ。ネガティブなイメージをポジティブなものに変えるのである。

見つめは「無視戦略」
どんな反応も取らず、うわさを流しっぱなしにしておき、自然消滅を待つというものだ。

自分がそうせざるを得ない立場に立った時、どのように動くのか。これは私たちの生活にも役に立つはずだ。あの時ああしていれば良かった。そんな思いがよぎりはしなかっただろうか?

ニュースは誰が運ぶのか――マスメディアの終焉

事実の隠蔽や、真実を語らないマスコミについて先ほども触れたが、実は過去にこんなことをしている。
93年の1月6日のことだ。この日臨時ニュースのため放送中の番組は全ての局で中止となった。そのニュースとは皇太子妃決定のニュースである。当時大きな話題となったに違いない。

が、マスコミは取材はするが報道はしないという報道協定を結んでいた。しかもアメリカのワシントンポスト紙が独自の取材で皇太子妃決定を摑み、当日名前入りで報道したのである。その結果、アメリカでは周知の事実なのに肝心の日本では未だ報道されていないという逆転現象がおきてしまった。

筆者はここで『日本のマスメディアは場合によっては、真実を伝えずに、情報を隠すことがあることを私たちに教えてくれた』と述べている。

これは今ではほぼ我々も知っている事実になっている。
そしてその不信感こそ「うわさ」にとって望ましい温床となりネットでの活動を活発にしたと言えるだろう。

今現在公平・公正に報道しているテレビ局・新聞紙はいったいどれほどあるのだろうか?
確かに情報は欲しい。しかしその局・新聞社の偏った意見を聞きたいわけではない。情報を与えるのはマスコミの役目かもしれないが、その情報が正しいかどうか吟味するのは我々視聴者の仕事だ。それを忘れてはならないだろう。

またこのような考え方もできるのではないだろうか?
各局とも偏った報道をしている中でなんとか真実を歪めないよう報道できれば、他の顧客を奪えるかもしれないと。今が脱却のチャンスである可能性が高い。

電子メディア社会のうわさ

筆者はこの章でネットワークの発達はこれまでとはことなる新しいコミュニケーションツールを作りだすと予測しているが、はたしてその通りとなっている。いまでは誰もが情報を発信できる媒体となれるのだ。いよいよ「うわさ時代」に突入しそうである。

オススメ度

オススメ度★★★★★
面白さ★★★☆☆
実は都市伝説を調べるために購入したのだが、様々なことが載っておりこれからの生活に大変役に立ちそうである。ネット社会が発達しつつある今だからこそ、この本を読んでみるのもアリだろう。
うわさが走る―情報伝播の社会心理 (セレクション社会心理学 (16))

川上 善郎 サイエンス社 1997-05-01
売り上げランキング : 386462
by ヨメレバ
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ
にほんブログ村

人気ブログランキング
blogramのブログランキング