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7月14日には東京都大田区大森の厳正寺付近で「水止舞(みずどめのまい)」が催された。
この祭りは前半と後半で違った側面を見せる面白い祭りだ。

毎年14日に開催されるので興味がある人は見てみて欲しい。東京都でもこんな愉快な祭りがあるのである!




目次

  1. 祭りの始まり~水止舞の歴史~
  2. 潜入!水止舞(遅刻)
  3. ここが気になる!この寺紋!

祭りの始まり~水止舞の歴史~

今から700年前に遡る。
北條茂候の子として生れた法密上人は18歳から真言密教を学び、後に厳正寺二世を継いだ。
後醍醐天皇の治世の1321年。法密54歳である。
その頃武蔵の国では大旱魃が起っていた。そこで雨乞いの祈禱をする者として法密に白羽の矢が立ったのである。

当初自分の力量では無理だと辞退をしたのだが、天候が回復しないこと、また皆からの願いによって法密は雨乞いをすることになる。法密は7日間祈禱。するとあれほど照っていた強い日が翳り、雨が降ったのである。これに皆は喜んだ。

ここまでであれば各地に伝わる「雨乞いのための祭」と変わらない。雨を降らせる祭り、こと水に関しては農耕に大切なものだったので広い範囲に分布しているはずだ。

だがこの話はこれで終わらなかった。
その2年後の1323年のことである。今度は3月3日から数十日のあいだ、雨が降りやまなくなったのである。その結果田畑は流され他国へとのがれる人も出始めてしまった。

「この長雨は雨乞いの祈祷をした法密のせいである」
中にはそんなことを言う人も出始めた。しかし法密上人は郷民を集め神仏に水を止めるよう祈ることを告げる。

法密上人は3頭の龍像を彫りそれを「水止(しし)」と呼び、郷民にそれを冠らせ踊りを奉納した。
すると今まで降りやまなかった雨が途切れ、見渡すかぎりの青空が広がった。

ここから毎年感謝の舞として「水止舞」を奉納するならわしとなり、現在に至っている。

潜入!水止舞(遅刻)

奉納日時は7月14日の13時から15時だ。
私はそのとき、1時間近く町内を練り歩いて、その後寺内で舞うのだろうと考えていたのだが、その考えが命取りとなる。

この祭りの前半部「道行(みちゆき)」という雨乞いの儀式は30分ほどで終わってしまうのだ!それを知らずのんびりバスを待っていた私は前半部をほぼ見逃すことに……
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見れたのは最後の一人の方のゴールの瞬間。それだけでも見れて良かった。
ちなみにこの「道行」は、藁で編んだ龍神の中にほら貝を吹く人が一人ずつ入って横になった状態で水を掛けられながら道を行くものだ。床が濡れているのは水の跡である。

水を掛けられている間もほら貝を鳴らすことを止めてはいけない。
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先にゴールした方もほら貝を吹き続けている。しかしその顔には疲労の色が濃く出ている。
またこの「道行」は見ているこっちにも水が飛んでくる。見物客の中にレインコートを着ている人はおそらく何度も来ている方なのだろう。そしてもちろんビチャビチャに濡れている人も多くいた。

後に説明をきくと、この龍神に対する「水かけ」は励ましの雨を意味し、ほら貝は龍神が高らかに上げる雄叫びなのだそう。

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こちらが二人が入っていた龍神。しっかり顔が作られている。
 
この「道行」が終わると今度は境内に設置された舞台で「水止舞」が披露・奉納される。
赤い面の雌獅子と黒い面の若獅子・雄獅子の3匹の獅子が順に舞を披露していく。
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①雌獅子の舞②「出羽の舞」③「大若舞・水止舞」④「コホホーンの舞」⑤「雌獅子かくしの舞」
⑥仲良く3匹が踊る
という順序だ。受付の方にうかがったところ、やはり後継者の育成が大変だそうだ。
小さい頃から勧誘してなんとか後継者を育てていこうと試行錯誤中らしい。「祭りの後継者」という問題はどうやら各地で見られる一番重要な問題のようである。

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帰り際に受付でいただいたのがこちら。前年度の龍神に用いた藁だそうだ。

そしてなんとこちらでも「ささら」を使用していた。ささらと言えば「新潟・佐渡のつぶろさし」でも男性を誘惑するのに使われていた楽器である。全国的に使われているものなのだろうか?
それも今では作る人がいなくなったので自分たちで手直ししつつ大切に使っているというお話だった。

ここが気になる!この寺紋!

こちらの神社の寺紋の名称がとても気になります。
正式名を御存じの方がいたらご一報ください。二つ追い雨龍に三つ鱗とかだろうか?雨龍が周りを囲っている、円の代役を果しているのは珍しい気がするのである。雨と龍神にゆかりのある寺ならではの紋だろう。ただ上の藁の紋は三つ鱗のようなのだが、舞台の幕はなんとなく北条鱗のようにも見えるのが気になるところだ。
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