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カテゴリ:その他書籍 > 民俗学

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遠い昔の話のようだが、どこか近くに感じるのが昔話の魅力だ。
今でも多くの昔話が絵本になっているので、誰しもお気に入りの一つ二つあるのではないだろうか?

かつて「日本のグリム」と称された男がいた。
佐々木喜善である。
今日は彼の集大成とも言える本「聴耳草紙」を見てみようと思う。




目次

  1. 佐々木喜善~日本のグリムと呼ばれた男~
  2. 「聴耳草紙」を読む!
  3. オススメ度

佐々木喜善~日本のグリムと呼ばれた男~

その土地の風習や風俗、習慣や伝説、民話、民謡、家具家屋など古くから人の間で伝えられてきた有形無形の資料を基に、その歴史的変遷を明らかにし現在の文化と比較し説明しようとする。それが民俗学だ。

この民俗学にはやがて「柳田國男」「折口信夫」「南方熊楠」といった巨人が出現し、学問として成立していく。そしてそうした偉人たちの周囲には、また、傑出した人物が多く集まることになる。柳田が避けた(もしくは避けざるをえなかったか)「性」や「被差別民」に関する研究を重視した「宮本常一」もその一人だろう(但し彼の後援は「渋沢敬三」で柳田閥からは黙殺されていた)

そして誰もが一度は名前だけは聞いたことがある「遠野物語」。この成立に関わったのが「佐々木喜善」である。

佐々木は幼少の頃から怪談話を聞いて育ったこともあり、怪奇潭に興味を持っていた。そんな佐々木は妖怪学の講義を聴くために哲学館へと入学した。もちろん目当ては「妖怪学講義」を著し、当時「妖怪博士」などと呼ばれていた「井上円了」だ。しかしながら円了は「妖怪撲滅派」の人間である。そんな円了に幻滅した佐々木は早稲田大学文学科へと転じ、文学の道を志す。モダン的な作家志望だった佐々木喜善(当時のペンネームは佐々木鏡石)であるが、作家として挫折。そんな折、佐々木は柳田と出会う。そして佐々木が話したことを元にして柳田が「遠野物語」を刊行したのである。

その後は病弱な身体を押し、東北に古くから伝わる「オシラサマ」「ザシキワラシ」の研究や、400編以上の昔話を集めることで大きな功績を残した。死ぬまでに『紫波郡昔話』『江刺郡昔話』『東奥異聞』『農民俚譚』『聴耳草子』『老媼夜譚』などを記し金田一京助に「日本のグリム」と呼ばれるまでの偉業を残した。

「聴耳草紙」を読む!

この本は1931年に刊行された本で、今も子供に読み聞かせる絵本の原型となった話が数多く含まれている。また佐々木も冒頭で述べているように、細かく分類しようとすれば「和尚小僧譚」「生贄譚「冒険譚」「花咲爺型」「瓜子姫型」から「縁起由来譚」など様々な話に分類することができる。

さて中に目を向けると、目次を見るだけで興味深い話が多く載っていることがわかる。
「聞き耳頭巾」の類話であり本書のタイトルにもなった「聴耳草紙」、「打ち出の小槌」や「屁っぴり嫁」などは一度読んだこと、もしくはテレビで見たことがあるにちがいない。

また地方によって様々な言い伝えがある「鳥の話」
中でも「郭公と時鳥の話」なんかは有名だろう。内容はよく聴く「妹が姉を恨んで殺したが実は」というものなのだが、鳥となって飛んでいくというのがまたものかなしさを増しているように感じる。この時の鳴声、つまり何と言って飛び立つかが地方によって変わっているようだ。

ここのは多くのお話が載っているのだが、これらはすべて佐々木が土地の人々から聞いて集めたものである。昔はこんな話をポンポンと話せる人たちが側にいたのである。

しかし今はどうだろう?
現在自分が住んでいる土地にまつわる昔話を一つでも知っている若い世代や子供はいるだろうか?
そういった話を語り継ぐ土壌はあるだろうか?
その神社の縁起は?どんな神様が祀られているのだろう?

実際現地に行ってみて感じたことだが、これらは地方の祭ににもいえることである。
「古いもの」は時代遅れでダサいものだろうか。いや、決してそうではないはずだ。こういった文化や伝統は失ってからでは遅いのである。日本人が日本人らしくなくなっていく中で、いつか必ず過去に目を向けざるを得ない時がくるはずだ。そんな時にこの「聴耳草紙」が少しでも役に立つに違いない。


オススメ度

オススメ度★★★★★
面白さ★★★☆☆
全部で180話以上収められている本書。絵本の元となった話も多くあるので一度目を通してみてはいかがだろうか?
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日本人は無宗教と言われることが多い。実際「あなたはどの宗教を信仰していますか?」なんて聞かれてたらはっきりと答えられる人は少ないだろう。

だが、はたしてそうだろうか? 本当に日本人は無宗教なのだろうか?
そんなわけで今日は「日本の民俗」という本を見てみようと思う。

目次

  1. 日本の民俗~祭りと芸能~
  2. 日本の民俗~暮らしと生業~
  3. とんまつりJAPAN~日本全国とんまな祭りガイド~
  4. そんなわけで

日本の民俗~祭りと芸能~

日本の民俗 祭りと芸能 (角川ソフィア文庫)

芳賀 日出男 KADOKAWA/角川学芸出版 2014-11-21
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芳賀日出男氏は写真家・民俗研究家だ。折口信夫の国文学の講義を受けるうちに「来訪神」「マレビト」について興味を持ったそうだ。
「神は季節の移り目に遠くから訪れ、村人の前に姿を現す」と折口は語った。
そこで芳賀氏はそれが本当ならば、写真に収めることができるかもしれない、そう思ったらしい。そして日本人の暮らしに密着した写真を撮ることになる。

こちらでは主に「祭り」と「芸能」がとりあげられている。
神の依代である御幣や、神を招くための清めや祓い、田の神に豊作を願う田植えの祭りなど多くの写真と共に詳しく解説してくれている。あえてすべての写真が白黒であるが、その写真達からは動的な力強さが伝わってくる。

そもそも「まつり」は神を祀ることだとされている。
とするならば、現在も各地で続く「祭り」もそこには神の存在があるはずだ。そしてその祭りを毎年楽しんでいる。今でこそすべてのものに神が宿るという考えは薄くなり、自分は無宗教だ・神なんかいないと思っている人も多いだろうが、そうであっても初詣には行くし、お盆には祖霊に参る。

このような民間信仰を「民俗宗教」というそうだ。神話を語り、万物に神が宿り、先祖の守護を信じそれらのために儀式を営むことと定義されるらしい。民俗宗教を駆逐しようとする創唱宗教に対し、民俗宗教はそれらを吸収・習合して来た。祭りや民間信仰が仏教に近かったりするのもそのためであろう。

とすると、日本人は定まった名前の宗派が無いというだけで、実はその多くの行動、習慣は「民俗宗教」に規定されているものであり、それに則った生活を送っているわけである。

日本の民俗~暮らしと生業~

日本の民俗 暮らしと生業 (角川ソフィア文庫)

芳賀 日出男 KADOKAWA/角川学芸出版 2014-11-21
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そしてさらにその時代に生きる人にまで近づいたのがこちらの「暮らしと生業」である。
だんだんと簡略化されては来ているが「正月」や「盆行事」、そして日本人とは切っても切れない「稲作」について、これまた豊富な写真と詳しい解説が載っている。「巫女」についての章では「遠野物語」にも出てくる「おしら様」の写真ものっている。

こちらもやはり写真に写る人々は生きいきとしている。親戚付き合い・ご近所付き合いはとても重要なものだったのだと改めて知ることができる。

今でこそ我々が普通だと思っている文化・風習も何年か、何十年かしたらそれは忘れ去られたもの、過去のものとして捨て去られているかもしれない。少しでもかけがえのないもの、良いものを未来へ残す工夫をしなければならない。そんな気持ちを起こさせてくれる二冊だ。

とんまつりJAPAN~日本全国とんまな祭りガイド~

とんまつりJAPAN―日本全国とんまな祭りガイド (集英社文庫)

みうら じゅん 集英社 2004-07
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上記二冊の本を読み、学者でも何でもない今の自分に何が出来るか。そう考えたときに思い浮かんだのは祭りへの実際の参加である。しかも有名どころではない、あまり知られていない祭りに実際に参加しその祭りの起源を調べてみようじゃないか。そう考えたわけである。

そこで私はこの本を手に取った。
みうら氏の軽妙な語りとその祭りの挿絵や写真が相まって非常に面白い。地元にこんな祭りあったんだ、と驚愕するとともに、紹介された地元の人も首を傾げるシーンがちらほら。このままではいかん!

この本には18の祭が紹介されている。
とくにこの表紙の和歌山・笑い祭りはとてもインパクトが強い(この横から覗いてるおっちゃんは誰なんだ?)。なんとか時間をつくりつつ全国47都道府県の祭を巡ってみたいものだ。

そんなわけで

全国お祭リストを作成してみようと思っております。
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