この本読んどく?

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2017年06月

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本を買う際ネットでオススメの物を買うことも多いのだが、そうしていると自分の本棚から自分の色がだんだんと消えていってしまう気がしてならない。

なので書店で本を買うときは
①ネットでオススメのもの
②立ち読みして面白そうなもの
③立ち読みもせず、タイトル・カバー・出版社のみで判断するもの
を合わせて買うようにしている。
そんな買い方をしていると、たまに出会う本が「壁本」である。
きょうはそんな「壁本」の素晴らしい世界を見てみよう。




目次

  1. 壁本とはなんぞや?
  2. 「戦国武将のカルテ」を読む
  3. 壁本度

壁本とはなんぞや?

簡単に言ってしまえば各ジャンルに存在している所謂「地雷」のことである。
「読んだ後、壁に投げつけたくなるほどどうしようもない本」略して「壁本」だ。
「壁本」の多くはミステリー界隈に多く存在している。というのもトリックが成立していない・結末に納得がいかない(無理矢理・ご都合主義)・設定がおかしいなどの本が結構数存在しているからだ。そんなわけでミステリーは壁本との遭遇率が高い。

しかしながら世の中には好んで「地雷」や「壁本」に挑む猛者もいるようだ。
そして私は「壁本」に遭遇してしまうのも読書の醍醐味の一つだと考えている。くじ引きのようで楽しいのだ。「壁本」がいてくれるからこそ、「良書」が目立つのである。

今後「壁本」も読んでみようという方は上記③の買い方をすると遭遇率が高まるはずだ。知名度の低い作家の帯に「衝撃」とか「驚異の」とか「どんでん返しの連続!」とかあったら要注意。そこには壁本の匂いが漂ってる。

「戦国武将のカルテ」を読む

まずこの「角川ソフィア」でぶち当たるとは思ってもみなかったので驚きが大きかった、というのが一つある。まさかここで引き当てるとは!出版業界は複雑怪奇であります!

この本は2008年に出たものを加筆修正して今年の2月に文庫化したものだ。
私が気になった点を順次上げていこうと思う。

①帯には「最新医学で戦国武将を診断」とある。他の出版社からも同系統の本は出ているが、角川ソフィアならより詳しく、面白い解説が読めるに違いないと思っていたわけである。

が、そんなことは全くない!最新医学なんて全く使っていないではないかい!
出てくる診断は癌!癌!癌!
大酒呑みは脳出血や脳卒中!

うん。それ別に医者じゃなくても見当つきませんかね?
日本人の癌による死亡率は相変わらず高い。昔もそうだったろう!と適当に書けば大体あたるはずである。

さらにタイトルに「カルテ」とあるにも拘らず、カルテらしきものや、詳しい詳述は一切ない。

②真田昌幸について
九度山に流されてからの昌幸である。
たしかに晩年、信之に宛てた手紙には「身体も弱り、なんとか自分を慰めたいから若駒を送ってほしい」というものがある。そしてその地で病没した昌幸を筆者は「無様」と切り捨てる。
が、果してそうだろうか。最後の散り際が良くないというのだが、では上田城合戦終了後切腹していれば良かったのだろうか。いやいや、九度山に流された当時昌幸がそこで終わりだと考えていたとはとても思えない。当然なんとか脱出し一泡吹かせようと考えていたはずだ。

さらに真田親子は当然当初は死罪だった。そこを本多忠勝・真田信之の助命のおかげで流罪となったのだ。それを考慮してもまだ筆者は「切腹すべき」と言うのだろうか? ここで切腹しては忠勝と信之の顔に泥を塗ることになるとは考えなかったのだろうか。

③宇喜多秀家について
関ヶ原後八丈島へ流罪となった秀家。そこでの秀家を筆者は「いつも飢えて死の臭いを放つ秀家は厄介者で扱いも粗略だった」と記述している。
島民からも疎んじられ、餓死寸前であった宇喜多秀家が八丈島で分家を三つもおこし、さらに84歳までも生きられるものだろうか?

ここでは八丈島の宇喜多秀家へ前田藩から仕送りがあったことは一切触れていない。
さらに迷惑な厄介者と書かれているが、実際のところは高貴な身分ということで厚遇され、島の役人とも婚姻関係があったようである。さらに筆者は「仏門に深く帰依した僧侶であったと考える」と述べているが、それなら秀家を疎んじるということはさらに無くなるはずである。

ちなみに佐渡への流罪は地獄だが、八丈島は比べると天国のようであったらしい。

④諸所の細かい武将の上げ下げ
簡単に言ってしまえば2008当時から時代が止まっているのでその武将に対する考えが古い。信長下げ・義元下げは酷い。特に義元の「すごいデブだから馬に乗れませんでした」というのは酷い。そのような説が根強く残っているのは事実だが、それが事実かどうかも分からないしほとんどが後世の創作と言われている。実際甲冑姿の肖像画にはそんなイメージは全くない。せめて「~という説もある」とすべきであった。

⑤作者の個人的思想・現代人の思想の押しつけ・個人語り問題
これが一番の問題で、当然当時の武将や人間たちがどう考えていたかという立場から考察すべきであるのに、現代の日本人の視点や価値観からこうだ!と決めつけている個所が多々ある。
たとえば「籠城の際熱い風呂や温かい布団で寝れなければストレスが溜まってしまう」とあるがこれはどうなのだろうか。当時戦に参加していた武将や農民は皆「熱い風呂に入って温かい布団にくるまれて寝る」という生活を送っていたのだろうか?

また「切腹」・「討死」・「老衰死」は良いが、「刑死」・「病死」は無様というのはどうなのか。
特に老衰死と病死は非常に曖昧だ。作者の立場になって考えると切腹すれば皆あっぱれとなるがそれでいいのだろうか。

さらに「人が死ぬと殯を催し~」とあるが「殯」は基本皇室や貴人の葬送儀礼に使う言葉だろう。この書き方では一般人のあいだでも「殯」という文化が浸透し、言葉も使われていたと見られかねない。
一般人の場合は「殯」を使わなくとも鳥葬なんかが近いのではないだろうか。

最後にこの「8章」はほとんどが自分語りである。武将のカルテとはほぼ関係ない。これではこのテーマで書こうと思ったが書けなかったので自分語りをしました!と思われても仕方がない。

※あくまで個人の感想です

壁本度

壁本度★★★★☆
角川ソフィアで壁本に遭遇するとは思っていなかったので衝撃は大きい。星5にならなかったのは頁数。268Pと少ないので時間の無駄を省ける点がマイナス1に繫がった。
戦国武将のカルテ (角川ソフィア文庫)

篠田 達明 KADOKAWA 2017-02-25
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心の闇、というものは中々消えるものではない。
それを心因として「トラウマ」が生まれることもあるようだ。それはしばしば私たちに悪夢を見せる。

そんな暗い雰囲気の小説を得意とする作家に道尾秀介氏がいる。
今回は今年の一月新潮社から文庫化された「貘の檻」を見てみようと思う。




目次

  1. 人間を描く・道尾秀介
  2. 「貘の檻」を読む!
  3. オススメ度

人間を描く・道尾秀介

道尾氏と言えば、2005年に発刊され賛否両論で話題となった「向日葵の咲かない夏」や月9ドラマ原作「月の恋人」、2012年に映画化された「カラスの親指」が有名だろう。
ミステリーランキングにも毎年のように名を連ね、2011年には「月と蟹」で直木賞を獲得した作家でもある。

さてそんな道尾しであるが、「背の眼」で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞してデビューに至る。このデビュー作は今のスタイルとは全く違い、良い意味で大衆小説として面白く読める。なので最近の小説や、暗い雰囲気の物しか読んだことがないファンは驚くに違いない。この「真備シリーズ」は所謂「ミステリー」をやっているのである。

いやいや、ミステリー作家なのだから当たり前でしょう?と思われるかもしれないがそうではない。ミステリーにも様々な種類が存在しているが、このシリーズはそれこそ「犯人当て」に主眼が置かれているように思われる。

犯人当てじゃないミステリーなんてあるのか、と思われるかもしれないがミステリーという奴はそんなに懐の狭い奴ではないのである。

謎が提示され、その謎が解決される。
これで一応はミステリーの体裁は保っていることになる。「何故今朝私の目ざましが鳴らなかったのか」とか「机の上から消しゴムが消えたのはなぜか」とか「この手紙は誰が書いたのか」とか、どんなにくだらない謎であっても提示され解決されればそれで良いと言える(但し、その謎を読者が面白いと思ってくれるかはまた別問題だが)

その「謎」を書くにあたって、「殺人→犯人当て」という流れが一番書きやすく、刺激的で、読者を楽しませることができるであろうために多くの作家がチョイスしているにすぎないのである。

では今の道尾しはどうだろうか?
道尾氏が書いている小説の多くは間違いなく「ミステリー」だが、主眼は「犯人当て」ではない。つまり「真犯人がすぐにわかった=つまらない」という批評は的外れだということになる。
道尾氏はミステリーを「人間を描くために最適な道具である」と発言したことがあったはずである。氏が表現したい「人間の醜さ」や「争い」、そして「人間とはちっぽけな、無力な生き物にすぎない」というドロドロしたものを描くために「ミステリー」を使っているにすぎないのだ。

「貘の檻」を読む!

それを踏まえた上で「貘の檻」を読んでみよう。
「向日葵の咲かない夏」や「龍神の雨」にみられるような頽廃的で陰惨な雰囲気。文章から立ち上る黒い靄のようなものが見えやしないだろうか。確かに読んでいて嫌な気分にもなる。しかしそれはこの小説を通して現実世界の自分や、周りの人間を見ているからではないだろうか?

非現実の世界を味わう、体験するために小説を読みながら、道尾秀介という作家は我々の前にこれでもかと人間のイヤな部分を見せつける。

帯びに騙されてはいけない。この小説にあるのは驚愕のトリックでもなければ驚きのどんでん返しでもない。ただただ人間のイヤな部分が横たわっているだけである。

ただ一つ。道尾氏の小説は結構な確率で不幸になって終わり、その後も苦労が絶えないであろうことが予想されるものが多いが、この「貘の檻」に関しては微かな希望が見えている気がするのだ。確かにありがちな、二時間ドラマのような陳腐な終わり方かもしれない。しかしそこには救いがある気がするのだ。

そしてこの小説は辰男が過去から脱却し、漸く自分の人生を歩み始めることが出来るであろうことを予感させる、辰男の成長物語であると同時に、俊也の成長物語でもある。多感な時期の少年の心情の移り変わりにも注目したい。


オススメ度

オススメ度★★★☆☆
面白さ★★★☆☆
夢の解釈や、主人公が聞く音など解明されない謎もあるが、それをどう捉えるかで面白さがかわる小説ではないだろうか?
貘の檻 (新潮文庫)

道尾 秀介 新潮社 2016-12-23
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自分の好きな小説や漫画、映画の世界に入り込みたいと願ったことはないだろうか?
しかし、二次元の世界には現代の技術をもってしても入り込むことはできない。
その結果として、そしてその願望の現われとして所謂「聖地巡礼」が活発になっているようだ。

今回は森見ファンなら持っていて当然ともいえる「京都ぐるぐる案内」を見てみようと思う。




目次

  1. 「京都ぐるぐる案内」を読む!
  2. 気になる場所をピックアップ!
  3. オススメ度

「京都ぐるぐる案内」を読む!

京都を舞台にした小説を数多く書いてきた森見氏。デビュー作の「太陽の塔」を始め「きつねのはなし」や「有頂天家族」「夜は短し歩けよ乙女」などなど、そんな森見氏の世界に魅了され愛読しているファンの方々も多いはずだ。

そうなってくると、物語の舞台となった場所に実際訪れて自分の目で見てみたい!という欲求が出てくるのではないだろうか?

そう。「聖地巡礼」だ。
しかし実際に京都へ行ってもすべての場所を巡ることができなかったり、京都へ行く時間も行けたとしても時間が限られている!という人も多いはずだ。そんなときにいろんな意味で便利なのが本書「京都ぐるぐる案内」である。

この本は2014年、なかなか新作が出ない中発売されたものである。なのでそれ以前の作品に出てきた場所はほぼ網羅してあると言ってよい。なので「有頂天家族ツアー」を企図してその場所をだけを巡る際や、「腐れ大学生観光」などで事件の場所を目指す際にとても役立つだろう。京都が初めてでも大丈夫なように最寄駅やアクセスがしっかり書かれているのだ!

また実際に行く時間なんかないよ!という人もこの本さえあれば安心だ。
この本の内容はいたってシンプル。森見氏と共に舞台となった場所をカラー写真付きで巡ることができるのだ。作品からの引用や、森見氏の解説、想い出等も語られているのでファンにとってはたまらない。

さらにこの「京都ぐるぐる案内」にはエッセイが二篇収録されている。
こちらのエッセイも普段の小説内での森見節が炸裂しており楽しく読めること間違いない。

気になる場所をピックアップ!

伏見稲荷大社・「きつねのはなし」など〉
この本の表紙を飾るのも森見氏と千本鳥居である。その千本鳥居があるのが「伏見稲荷大社」だ。
本書の中では森見氏が「キツネ型の絵馬」を奉納している。実際に訪れて探してみるのも楽しいかもしれない。もちろん他の観光客に迷惑にならないようにだが。ここは平日でも外国人観光客で賑わっている場合が多いのだ。また出店が出ておりちょっとした祭り気分を味わえる。

京都に行くと結構な頻度で訪れるのだが、未だに最奥まで参拝したことがない。ここには自分の願いが叶うかどうか占ってくれる「おもかる石」があり、石の近くからは重い・軽いなど賑やかな声が聞こえている。

六道珍皇寺・「有頂天家族」など〉
矢二郎ファンの聖地であろうと思われるのがこの「六道珍皇寺」だ。
矢二郎が住みついている古井戸はおそらく「冥土通いの井戸」だろうと思われる。

この井戸を通って冥土に通っていた人物は「小野篁」。平安時代のもう一人のスーパーマンである。
地獄へ落ちた紫式部を救った話や嵯峨天皇との問答(子子子子子子子子子子子子の話)など様々な逸話を持つ人物である。

そんな井戸だが、特別公開時以外は非公開だったようだが、現在一般公開されているようだ。井戸に近づき矢二郎に何か相談すると返事があるかもしれない。

オススメ度

オススメ度★★★★☆
面白さ★★★☆☆
京都に住んでいる人ならまだしも、中々すべての場所を巡るのは難しい。本書に紹介されている場所から数か所に絞って観光してみるのはいかがだろうか?
森見登美彦の京都ぐるぐる案内 (新潮文庫)

森見 登美彦 新潮社 2014-06-27
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国会が閉会した。マスコミの報道を含めここまで腐っていたのはなかなかお目にかかれない。ニュースを通じて我々に伝えられる報道と言えば「加計学園」や「森友学園」の報道ばかりだ。しかもそこに汚職が絡んでいるのならまだしも、あたかも違法性があったかのように報道するメディアには首を傾げる。「共謀罪」に関してもそうだ。国会の前で反対していた人たちは民主党政権も同じ法案を成立させようとしていたことを知っているのだろうか? 「テロ等準備罪」という名の法案がいつの間にか「共謀罪」として広まっているのは何故だろう? フィリピンが現在ISと戦闘状態になっており、死者も300人以上出ていることをほとんど報道しないのはなぜだろう?

今回はすべての政治体制を痛烈に批判し、それを寓話的に記した名著「動物農場」を見てみることにする。




目次

  1. ジョージ・オーウェルとディストピア小説
  2. 「動物農場」を読む
  3. オススメ度

ジョージ・オーウェルとディストピア小説

ジョージ・オーウェルはイギリス植民地時代のインドで生まれた作家・ジャーナリストだ。
代表作は「1984年」や本書「動物農場」があげられることが多いが、ルポ的作品も多く執筆しており、「ビルマの日々」や「カタロニア賛歌」も優れた評価を得ている。

だがやはり「1984年」があまりにも強烈なためディストピア小説と切っても切れない縁であると思われる。
ディストピアとはユートピアの正反対の社会、主にSF小説で描かれることが多い。そして多くは政治的・社会的に問題点を抱えている。一見平等・平和的な社会に見えるが、その実権力者や国家による監視・管理が行われており、自由も見せかけだけのものであったり、洗脳、焚書、発禁、愚民政策など一部の者が有利にないような支配体制を敷いていることが多い。

特に洗脳に関しては外から見る分には「こいつ洗脳されてる」とわかる。つまり本を読む我々は本の中で洗脳されている人物を指摘できるが、これを現実社会に置き換えてみるとどうだろう。「お前は洗脳されている!目を覚ませ!」と言われて「はい、そうですか」と納得する人間はいるだろうか?

このように多くの事を考えさせてくれるのが「ディストピア」小説だ。

「動物農場」を読む

ところでトランプ大統領が誕生してから半年が経過しようとしている。
アメリカでは新しい大統領が誕生したらその時代、その大統領を反映したかのようなベストセラーが生まれるらしい。歴代大統領はそろって読書家であったそうで(ルーズベルト大統領は自分が考えたプロットの小説をヴァン・ダインなどに頼んで分担執筆してもらっている)、その大統領が読む本は必ずといっていいほどベストセラーになるそうだ。ちなみにオバマ氏が大統領になった際は「マイ・ドリーム」や「リンカーン」がベストセラーになったらしい。

だが、トランプ氏は本をほとんど読まないそうだ。
ではどんな本がベストセラーになったか? そう。御察しの通り「ディストピアもの」がベストセラーになったのだ。特に「1984年」や「侍女の物語」が売れているようである。(自分たちが選んでおいてディストピアがベストセラーになるというのも考えてみればオカシナ話ではある)

さてこの「動物農場」も所謂ディストピアものだ。
話の筋は簡単で、「農場主の人間を動物たちが追い出して、動物の動物による動物のための『動物農場』を作ろうではないか!」という話である。ここに登場する動物たちはそれぞれをそのまま動物としての登場人物として見ても面白く読めるのだが、それぞれやはり人間をモチーフにしている。

またこの話の中で権力を握っていくのは「豚」である。豚好きの方がいたら申し訳ないのだが、「あなたは豚のようだ」と言われて感激する人は少ないだろう。少なくとも日本では豚は醜いイメージを持たれているに違いない。その醜い豚を権力者に据えたところにも極めて痛烈な批判・皮肉が読み取れる。

すぐれたSFというものはすぐれた預言書たりえる、という言葉をどこかで耳にしたことがある。これには根拠があり、社会や政治をメインに据えたSFを書く場合、どうしても下調べの重要度が増すのである。特に何十年・何百年先の世界を描こうとする場合は現実世界とさほど変わっていない可能性が高い。なのであまりに変わった未来では現実味が薄れてしまうのである。作者はそうした下調べの中で知識を得て、いまの世界の問題点は何なのか、政治体制はどうなのかと考察しながら書くことで、何年か経ったら本当のことになっていた、なんてことが起きるらしい。

いつの時代に読んでも色褪せない名作というのは素晴らしいことだ。が、それは裏を返せば当時作者がこのディストピア小説で問題にしたことが実際に発生し、それが長い年月を経ても解決されていないことを指すのではないだろうか。問題は依然としてそのままにして、臭いものには蓋。人間や社会はその外見だけを変貌させ中身は全く変わっていないのではないだろうか。

またこの本の序文案にある『多くの雄弁なイギリスの平和主義者たちが、ロシアの軍事主義に対する崇拝の広がりに対してまったく声を上げていない』といった文や、『どうやらロシア人には自衛の権利があるけれど、私たちが自衛するのは万死に値するらしい』といった文に注目したい。これはまさに今の日本で起きていることと全く同じではないだろうか? 今、イギリスがどんな考えを持っているのかは全く知らない。しかし少なくともこの本が執筆された1945年当時と今の日本は同程度のレベルでしかないということではないだろうか?

オススメ度

オススメ度★★★★★
面白さ★★★☆☆
多くの動物たちが登場する本書。あなたの立ち位置はどの動物に当てはまるだろうか?
動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

ジョージ・オーウェル 早川書房 2017-01-07
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旅行といえば「ご当地グルメ」も魅力の一つ。せっかくだからその土地、その地域でしか食べられないものを食べてみたい!そんなわけで今日は番外編として中々行く機会が少ないであろう佐渡のご当地グルメをご紹介!
〈関連記事はこちら〉
・日本お祭り紀行その① 佐渡「つぶろさし」~Part1~
・日本お祭り紀行その① 佐渡「つぶろさし」~Part2~
・日本お祭り紀行その① 佐渡「大道芸人と二ツ岩大明神」編






目次

  1. 臓暴れ血湧き肉躍る!「ブリカツ丼」
  2. 魚のすり身で作る!「佐っとび餃子」
  3. 激レア!カーフェリーでの船内食!

臓暴れ血湧き肉躍る!「ブリカツ丼」

まずは「SADO METAL」でも紹介されていた「ブリカツ丼」を御紹介
こちらは佐渡汽船ターミナル三階「食事処よろこんで」さんにて注文。あのPVによれば食べると「臓暴れ血湧き肉躍る」そうだが果して……
注文したからさほど待たずに到着したのがこちら!
DSC_0193
話が少しそれるが、新潟に来たら食べた方がいいものとして個人的に「タレカツ・ラーメン・魚介類(寿司とか)」推すのだが、このブリカツはタレカツの系譜をひくものだ。
まず新潟のカツ丼の主流は「タレカツ」であり、タレカツは卵などでとじることをしない。揚げたてのカツをタレにくぐらせて御飯の上にのせるのだ。

その「タレ」なのだが、これは醤油をベースに砂糖・酒・出汁・みりんなどで作る甘めのタレなのだ。これがまた、カツには抜群にあう。はっきり言って一度食べたらこれ以外のカツ丼は食えなくなるぐらい美味い。最近では東京にも進出しているが、新潟のご当地グルメの一つだ。

さてそのタレが「ブリ」にあうかどうか?
というかブリのカツっていったいどうなんだ?という疑問が頭の中にあったのであるが、それは全くの杞憂だった。これがメチャクチャ美味い。胡椒で下味をつけたブリを、細かく砕いたパン粉で揚げ(細かいパン粉というのが重要)、名物のタレにくぐらせている。タレにくぐらせてはいるが、ベシャッとはしていないのがポイントだ。

また、あのブリの臭さはまったく感じない。血合いの臭さも無い。さらに高温で揚げているにもかかわらず、ブリの身はまったくパサついてはいない。

名物である甘めのタレと絡まり御飯がススム!そんな丼ぶりであった。

魚のすり身で作る!「佐っとび餃子」

そしてメニューの中でもう一つ気になったのがこの「佐っとび餃子」。魚のすり身で作るという説明だがはたしてどうだろう。
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テーブルに運ばれて来たのがこちら。見た目は普通の焼き餃子である。
しかし口に入れ、ひとたび噛むと中からジュワァとスープが溢れ出してきた。メニューの説明通り、断面を見ても肉は入っていないようだ。それなのにこの「肉汁」ならぬ「魚汁」はいったいなんだろう?この液体が非常に美味しい。魚の旨味と野菜の甘み(白菜だろうか?)が合わさった優しい甘味が口の中に広がっていく。注目すべきは「脂のさっぱり感」であろう。肉のように絡みつく脂も美味しいが、こちらは魚メインだけあって脂はさっぱりとしている。しつこくないのだ。

餃子のタレにもよくあう。野菜マシマシ餃子とはまた違う、珍しいサッパリとした餃子であった。

激レア!カーフェリーでの船内食!

またフェリー内で食べられる食事もなかなか豪華だ。
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こちらは「ずわいがにこぼし丼」
赤泊から直送のカニを使用し、その量なんと200g!
冷凍なんかにありがちな水っぽさも全くなし。分厚いカニの身と甘味を堪能できました!
佐渡に行く船の中でこんなものが食べられるとは思ってもみなかったです!

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こちらは船内の売店で購入できる「プリン」
もちろんどちらも新潟の名物「あんのう芋」と「笹団子」を用いている。

「あんのう芋プリン」はプリンにペースト状のあんのう芋が混ぜてあり、さらに中には2cm大のあんのう芋の焼き芋が入っている。この芋の特徴は強い甘味とねっとりとした食感だ。サツマイモの香りと味を楽しめる一品。

「笹団子プリン」はミルクベースのプリンの中になんと笹団子が一個まるごと入っている。
笹団子は新潟の代表的な土産物だろう。笹に包まれたヨモギ団子というもので、冷凍もでき食べるときにはレンジでチン!で簡単に食べられるものだ。そんな団子が丸ごと一つ入っていて、食べ進めるとヨモギの香りと餡子がまざり一気に和風の食べものに変貌する。

そんなわけで今回は佐渡のご当地グルメを紹介してみた。気になったらぜひ一度佐渡へ!どうやら生きてるうちに行ける天国らしい!
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今回の記事は佐渡「つぶろさし」編の関連記事となっております!
・日本お祭り紀行その① 佐渡「つぶろさし」~Part1~
・日本お祭り紀行その① 佐渡「つぶろさし」~Part2~


羽茂祭りでは神社行事の他にも、地区内イベントとして小学生みこしや幼児みこし、中学生のおけさ流しや総おどりが行われている。この日は学校も休みになるようで、相当な力の入れようだ。

そんな中、商工会前広場や陶芸センターの駐車場では大道芸が行われていた!全ての方を見ることは時間の都合で出来なかったのだが間近で見ると面白い。


目次

  1. 長い頭とアクロバットで観客を魅了!「いとをかし」
  2. 「大道芸」と「門付」
  3. 潜入!「二ツ岩大明神」

長い頭とアクロバットで観客を魅了!「いとをかし」

私が見たのは「おじゃるず」さんと「華千代」さんのユニットである「いとをかし」
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(写真はパフォーマンスの一場面。羽茂支所の前で出合った際にブログへの許可いただけました)

「おじゃるず」さんは一度見たら決して忘れないその長い頭が印象的な大道芸人だ。
今回の羽茂祭りにはおじゃるず1号さんとおじゃるずくろこさんが出演していた。
また、「わくわくばらえてぃーつあー」と銘打って佐渡各地を回り皆を楽しませている最中である。6月24日には佐渡・宿根木で公演予定らしいのでぜひ見学に行ってみてはいかがだろうか?
さらに海外でも積極的に公演を行っているようで、結構な数の国にいっているようだ。

「華千代」さんは宮城を中心にアクロバティックなパフォーマンスで観客を楽しませる大道芸人だ。
さらに驚きなのが、「古民家プロジェクト」と題し、佐渡で古民家を再生したり畑仕事をしているということ。私は見れなかったのだが、県内ニュースで佐渡で実際生活しながら……と放送されたのはおそらく華千代さんだろう。

何度目かの共演ということで、やはり息があっている様子。
しかも「観客参加型」なのでつらい部分もあったと思うが、間の持たせ方がやはり巧いなぁと感心しっぱなしである。特に華千代さんのイス上パフォーマンスの際に、椅子の固定に時間がかかりそうだとみるや、おじゃるず1号さんがおどり始めたのは個人的にとても感動。やはり場馴れしていらっしゃる!
そして気がついたら「いとをかし」の世界に入り込んでいた。

私が思うのはこの「観客参加型」が大道芸の究極点では? ということだ。
確かに個々のずば抜けた技術を見るのも楽しいのだが、地域の祭の場合は観客・地域の人が参加することにより一体感が増すというのが非常に重要なことに思える。そして芸の「おやくそく」に付き合ってくれる人を見極めることが難しいのではないだろうかと感じた。その点「子供の参加」というのは双方利があって良い事なのだろうと思う。

「大道芸」と「門付」

そして特に素晴らしかったのが門付芸の俵転がしと俵積み唄だ。
門付というのは大道芸の一種で門口に立ち芸を行い金銭などを受け取る芸能のことで、多くが予祝芸能となっている。この予祝芸能はあらかじめ祝うことでその実現を祈るものだ。季節の変わり目や年の改まった新年に多く見られた芸能である。

門付芸というと人形による門付や、館ぼめ、獅子舞なんかが思い浮かぶが、おそらくはそれぞれの地域にそれぞれの門付が伝承、あるいは毎年やってくる門付芸人なる人物がいて特色のあるものが伝わっていたのだろうが、どんどん廃れていき消滅の憂き目を見たのだと思われる。

しかし、この「いとをかし」さん達は実際に自分たちも俵の製作に携わっただけでなく、門付芸をやってみせてくれたのである。倉谷地区には大わらじの道祖伸やそれに纏わる民話も伝わっているのでそこを中心に過去には行われていたに違いない。しかもこの広場前だけでなく、この方たちは実際に家々を訪れて門付を行っているのである。私もこれを見てうるっときたぐらいなので年輩の方が泣いて喜んだというのは当然というか本当に有難かったのだろうと想像出来る。この佐渡に伝わるであろう門付を披露してくれたことがやはり素晴らしい。大道芸人の鑑だろう。年輩の方々はマレビト信仰なんかも相まって本当に神のように見えたのではないだろうか?

潜入!「二ツ岩大明神」

しかしここに来て私は佐渡の広さを知ることになる。
自分の頭の中では羽茂祭りを見たらせっかくだし「二ツ岩大明神」にお参りしていこう、と考えていたのだ。そこでここから相川までどうやって行ったら良いでしょう?と羽茂支所を訪れた。
そこで親切に説明してくれたのだが、どうやらバスではもう時間的に不可能。車でも1時間~半ぐらいはかかるのではないだろうか、とのことだった。無計画も楽しいがやはり計画は大事なのである。

そこでタクシーで相川まで行くことに決定。その時のタクシードライバーの方は本当に親切な方でプロとはこういう人を言うのだな、と一人感心してしまった。
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こちらが「二ツ岩大明神」だ。ぶっちゃけカーナビがあっても気がつかないような所を曲るので本当に地元のタクシードライバーの方に送っていただいて助かった。ここの神社は車一台通れるかどうかという細い道を車で10分ほどのぼったところにある。左右の道からは荒れ放題の草木が伸び、行く手をさえぎる。

こちらの神社に祀られているのはかの有名な「団三郎狸」である。
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狸ファンなら知らぬ人はいないこの団三郎狸は「芝右衛門狸」「太三郎狸」と並び「日本三名狸」に数えられている。また佐渡には狐がおらず、それは団三郎が狐を佐渡から追い払ったせいだとも伝わっている(そのせいか、佐渡には全国的にも珍しい狸憑きというものが存在していた)。さらにこの神社には「願いが成就したら鳥居を奉納する」という信仰があり(団三郎狸は狐が嫌いなんですよ、ええ)未だに奉納されていた。ただしというか、奉納される鳥居は赤くはない。普通の木の色である。

さらにタクシードライバーの方から衝撃の一言が。
「少し前までは奥のほうに祠もあったんですよ。だけど全部燃えてしまってねぇ。どうやら放火だったらしんだが……」

はあぁぁ?

慌てて上ってみると、たしかに綺麗にそこだけ燃えていた。木や何かが燃えたあとが確認できたのである。残念ながら私が訪れた2017年6月現在では再建されていない。それどころか全くそんなものがあったのかと忘れ去られた様子で、瓦礫も放置。奥の社務所?らしき建物は倒壊寸前。瓦は落ち、斜めに傾き額は外されていた。これは本当に悲しい。募金して再建できるものなら喜んで募金するのであるが募金は募っていないようだ。

「ほら、平成狸なんちゃらっていう映画にも出てたのにねぇ」
地元の人でもここは知らない人が多いんじゃなかな?とタクシーのドライバーさんはしんみりと呟いた。

が、団三郎狸は「平成狸合戦ぽんぽこ」には出ていないのである。
名前だけの登場で、その時にはもう猟師に打ち殺されてしまっている。食糧難ということから推測するとおそらく狸汁になってしまっている模様。

金長狸は有頂天家族にも出ているし、隠神刑部は水木しげるロードにいたりもするのになぜこうも「団三郎狸」は影が薄いのか!?

あとで知ったのだが、こちらの「二ツ岩大明神」、心霊スポットでもあるらしい。写真には何も写ってないですよね?


祭り番外編・佐渡グルメへ続く

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今回の記事は佐渡「つぶろさし」編のパート2となっております。ぜひパート1からご覧くださいませ!

そんなわけでパート2は残る二つの「つぶろさし」を御紹介しようと思う。それぞれ微妙に違っているのが見どころだ。

目次

  1. 二人の鬼が舞う! 鬼舞つぶろさし・草刈神社
  2. 天狗が登場! 妹背神楽つぶろさし・度津神社
  3. 町中を歩く! 大獅子舞と猿田彦神

二人の鬼が舞う! 鬼舞つぶろさし・草刈神社

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13時50分からは村山地区に伝わる「鬼舞つぶろさし」の登場だ。
こちらは文禄のころ村山の藤七という人物が京都へ赴き祇園祭で習得して来たという。こちらは「草刈神社」に奉納される。またこの草刈神社には「県指定有形民俗文化財」の「能舞台」がある。毎年15日の夜には薪能が行なわれている。

草刈神社は牛頭天王を祀っており、しだいに農耕神としての性質を帯びるようになった。
その神社の前では各地域が出し物を持って集まり様々な演目が披露されたらしい。
そのときに村山地区が行ったのがこの「鬼舞つぶろさし」だ。

当時は棚に桜の花の幕をはり、役行者の人形を飾りその前で踊ったという。
前段では役行者が鬼を従えて踊り、後段ではつぶろさしが笛と太鼓に合わせて踊っていたようだ。
DSC_0180
まずは赤鬼と青鬼が登場する。しかしながら役行者は登場しない。時代を経るにつれ前段・後段の区別がなくなり鬼とつぶろさしが残った結果役行者は消えてしまったのだろう。

しかしどういった過程を経て役行者が出し物に登場したのだろう。藤七氏が京都へ行った際に流行っていたのだろうか?それとも巡った寺社の中に役行者を祀ったものがあったのだろうか?

何はともあれこの鬼たちは役行者の忘れ形見の「前鬼・後鬼」に違いない。
というのもこの鬼たちの踊りは全く荒々しくないのだ。どこかコミカルに感じるぐらいである。稲の成長を踊りで表しているかのようで、鬼たちが豊作を祈り田畑を駆けめぐっている景色が今にも浮かびそうだ。荒々しさを感じないところに未だ役行者の香りをかぐことができそうだ。
DSC_0185
鬼たちが退場するといよいよつぶろさしの登場である。
しかしながらこちらには「ぜにだいこ」は登場しない。ササラスリとの一対一の純愛?である。

さらにこちらは太神楽つぶろさしのお面と比べると表情が分かりやすい。そしてこちらの方がおそらく太い。ふたつのつぶろさしに言えることはやはりササラスリの重要度だろうか。主役はもちろんつぶろさしなのだが、ササラスリの仕草を見ていると動きって大切だなと実感させられる。ササラの擦り方もそうだが、特に「いやんいやん」の動き?だ。肘を折りまげて細かく上下するあの動きなのだが共に高まっていっているのだなと感慨深く感じるものである。

またこちらは演舞の終了後首に巻かれた長いマフラーのようなもので「後始末」をしてすべてが終了となる。


天狗が登場! 妹背神楽つぶろさし・度津神社

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妹背神楽つぶろさしは最初に天狗が登場する。あちらを向いてしまっているが天狗である。
この「妹背神楽つぶろさし」は「渡津神社」への奉納だ。しかし他の二つよりも歴史が浅いらしく、こちらはまだ県指定の文化財には認定されていないそうだ。

この「妹背神楽つぶろさし」は「太神楽」と「鬼舞」を合わせたような感じである。
DSC_0176
「つぶろさし」と「ササラスリ」はもちろんのこと「ぜにだいこ」と「獅子」も登場する。
お面や衣裳も比較的新しく見え、ササラスリははっきり「おかめ」のお面となっている。さらにこちらは他の二つが徐々に徐々に高まっていくのに対し、いきなり乱射している。もう序盤から飛ばしまくりだ。太鼓と笛の合間合間に発射するのである。豊作を祈るものだから種は確かに重要ではあるが些か飛ばしすぎでは!?と心配になる次第である。

さらに途中で獅子が動きだし、途中「ぜにだいこ」はフェードアウト。ササラスリと二人になるところは「鬼舞」と同じである。

こちらを見てはっきり思ったのはやはり私は「ぜにだいこ」のあの動きがとても好きだということ。今年が格段に上手かっただけかもしれないが、「太神楽」で「ぜにだいこ」を演じた人はほんとキレッキレだった。

町中を歩く! 大獅子舞と猿田彦神

また、羽茂祭りの最中は地域内を大獅子舞と猿田彦神が歩き回る。
DSC_0129
こちらは大獅子舞。3~4メートルほどの胴体の獅子舞が横に揺れ縦に揺れながら歩き回る。
もちろん人にも噛み噛みしてくれるのだが、メインはおそらく門付。店や家を中心に回っていた。しかしながら全く発見できない!

大獅子舞は菅原神社・草刈神社ともに8時から行っているのだがまったく遭遇できないのである!警備員の人や実行委員の人に聞いてみるものの、一足遅く、既に去ってしまった後だった。いたるところで「カツンカツン」という音がしているのだが悲しい。結局商工会前広場で待っていたら大獅子舞はやってきた。その一場面である。

DSC_0187
こちらは天狗の原形ともなったと言われる「猿田彦神」だ。邇邇芸尊らを先導しようと迎えにきた国津神である。

こちらは商工会前で「つぶろさし」を見ていたところ、スタッフの人から「今から神様通るので道を開けて下さい!」との声で道が割れたところを馬に乗り過ぎ去る場面だ。御輿渡御の際に先導する猿田彦神は結構あるみたいだが、猿田彦神単独では結構珍しいのではないだろうか。

猿田彦神も草刈神社・菅原神社からほぼ同じ時刻に出立しているが、どちらの神社から出立した猿田彦神であるかは不明。ちなみに途中、ジープに乗った猿田彦神にも出会ったのだが、写真を撮る間もなく過ぎ去ってしまった。無念。

羽茂祭り大道芸人・二ツ岩大明神編へと続く

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日本各地の祭を回ってみようと思い、その第一回となったのが佐渡「つぶろさし」だ。

近くに住んでいながら佐渡のことはほとんど知らないのが実情である。すぐに思いつくのは「金山・トキ・たらい舟」ぐらいなものだ。そんなわけで今回は上の「羽茂(はもち)祭り」を見学に佐渡へと向かった。





目次

  1. 「SADO METAL」で学ぶ佐渡の魅力
  2. いざ佐渡ヶ島!
  3. 到着!羽茂祭り
  4. 艶っぽい身体のこなし!太神楽つぶろさし・菅原神社

「SADO METAL」で学ぶ佐渡の魅力

まず見てもらいたいのがこちらの動画。最近テレビでも取り上げられたようだ。

ちなみにメンバーは
ヴォーカルの「SADIST冠」
ドラム「竜王洞の松」
ベース「いごねりのSTAR」
ギター「おけさのJOE」
の四人組だ。このPVを見れば佐渡の魅力が大いに伝わるはずである。佐渡の有名どころはこの動画にほぼ詰め込まれていると言っても過言ではない。

それでは佐渡の予習を終えたところで佐渡へと向かうことにする。

いざ佐渡ヶ島!

佐渡へ行くには船で行く必要がある。「ジェットフォイル」「カーフェリー」の二種類があるが、よほど急いでないかぎり「カーフェリー」をお勧めする。カーフェリーには様々な施設があり、中でも「佐渡牛炙りバーガー」は一日10食限定でおそらくここでしか食べることができない。ジェットフォイルに比べて値段も安く、お手頃だ。

船は両津港に到着。約二時間半の船旅だ。揺れに弱い私もまったく酔わなかったので船酔いはよほどひどくなかぎり安心だろう。佐渡汽船の中には観光案内所もあり、とても親切に教えてくれるので初めての佐渡でも安心して観光できる。私はそこで1DAYバス乗車券を購入。単身羽茂へと向かった。
ここで注意したいのがバス時間だ。車で移動するほうが断然良いのだが、バスで移動する際は時刻をしっかりと把握することが重要だ。下手をすると帰れなくなってしまう。それほど本数が少ないのである。しかし佐渡では面白いことをやっている。バスの運転手に言えばどこでも自分の好きなところで降りられるのである(路線内であれば)これは本数が少ないことと乗車人数が少ないからできることであろう。面白い試みである。

さっそくバスで羽茂へと向かうが両津とは正反対である。そして佐渡は小さいように見えて意外と大きい。羽茂へはバスで乗り継ぎ一時間半ほどかかる。さらに道が驚くほど狭く、悪い。山と海に囲まれた佐渡は急なカーブも多く、運転中は殆んどまわりの景色を楽しむ余裕はないかと思われる。その点バスは外を眺めて景色を楽しめるのが一つの利点だろうか。ガタガタとケツを叩くバスに揺られながら見える景気は一面田圃である。見わたすかぎりの田園風景というのはなかなかお目にかかれない。

また昔ながらの古民家に混ざって新築の洋風の家、廃屋が混在としており、まるで自分が遠い異境の地へ来たかのような錯覚を覚える。

佐渡には寺社仏閣が非常に多いように感じられる。さらに辻や境目には道祖神やお地蔵様の祠が祀ってあるのも気になった。配流地だったことも関係しているだろうか。それに関係して真野御陵(順徳天皇御火葬塚)なども存在している。

到着!羽茂祭り

長い時間バスにゆられ羽茂地区へ到着。
臨時駐車場は満車、さらに地域の学校や店はほとんど休みになっていて、「羽茂祭り」へのち力の入れようが窺える。

神社の方では朝の6時から若衆鬼太鼓や大獅子舞が奉納されている。ちなみに今回見に来た「つぶろさし」であるが羽茂の中の地区でさらに別れて伝わっており、全部で三つある。時間が重なっていたりと全部見るのは難しそうだが、安心して欲しい。「羽茂商工会前広場」では様々な催し物が開催されているが、ここに入ればすべての「つぶろさし」を見ることができる。

また商工会前ではマジックショーや大道芸人によるショー(後のパートで紹介)も行われていてそちらも見逃せない。

艶っぽい身体のこなし!太神楽つぶろさし・菅原神社

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最初のつぶろさしは「菅原神社」に奉納される「太神楽つぶろさし」
名前の通り「菅原神社」学問の神である「菅原道真公」を祀っている。社宝として円面懸仏・扇面懸仏・全銅十一面観音座像があるそうだ。

「太神楽つぶろさし」は羽茂本郷につたわる伝統芸能だ。
羽茂地頭の本間氏が茶道修業のために京へと遣わした葛西三四郎というものが持ち帰り、城中の荒神社に「一粒万倍」を祈願し奉納したことが始まりなのだという。
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(↑つぶろさしを誘惑するササラスリの図)
まず登場するのは男根様の棒をもったつぶろさし。最初は棒を振り回しながら登場するがやがて定位置におさまる。このつぶろさしは物語になっているらしく登場人物にも背景がある。
・つぶろさし→精力絶倫の醜男
・ささらすり→美しい女性がササラという竹の棒をこすりあわせて音を出しつぶろさしを誘惑。ギロのような音を奏でる
・銭太鼓→不美人で顔を隠しているがグラマー。肉体美でつぶろさしを誘惑

説明では三角関係ということらしい。さらに後ろの獅子は天照大神を表現しているのではないかとのこと。
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そうこうしているうちに銭太鼓が登場。銭太鼓で身体の様々な部分を叩き、つぶろさしを誘惑。
笛太鼓の音にあわせて三人はしばらく踊りつづけフィニッシュを迎える。
御察しの通り、五穀豊穣・子孫繁栄を祈った神楽である。そしてこれは原則、家の長男しか参加できないという。そう聞くと今でも若衆組のようなものが機能しているのではないかと思えてくる。伝統芸能を構成に伝えるためのシステムが構築されているのは非常に良いことだが、やはり少子高齢化と人口減少への対策が必須となってくるだろう。

今回三つのつぶろさしを見たが個人的にはこの「太神楽」がいちばん良かった。初めてつぶろさしを見たという興奮もあるかと思うが、三人の身のこなし、嫉妬や興奮など表現がすばらしく見ていて泣きそうになったぐらいだ。特に銭太鼓の人のキレが素晴らしい。止めるところは止めることでメリハリが生れていて動きも見ていて面白い。
さらに各人の面は古く見え、ササラスリに関しては女性かどうか判別不能な面であった。男根様の棒もしっかり作られていて、先端には穴があり、根元には毛が生えている。
Part2へと続く→日本お祭り紀行その① 佐渡「つぶろさし」~Part2~
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ふと何かが食べたくなる、そんなことはないだろうか?

しかし、もう夜も遅いし、ケーキ屋も閉まっている。開いていても売りきれていたらどうしよう?と不安がよぎる。でしたら作ってしまいましょう!




目次

  1. パイ生地作り
  2. パイの中身~リンゴとカスタード~
  3. 焼成
  4. 実食

パイ生地作り

もちろんパイ生地からのスタートです、ええ。
生地は前回つくった「ビスケット」の応用とでも考えてもらえればありがたい。
違うのはバターの量が格段に多い事!多すぎぃ!
―材料―
・薄力粉 100g
・強力粉 100g
・バター 150g
・水 100cc
①冷やした水と粉類を一気に混ぜ合わせる!
全体に水を行きわたらせたらある程度まとめる。表面はつるつるにならなくても良い。ざらつく程度でOK!
②生地を丸めてボールに入れ、濡れ布巾などをかけて1時間ほど休ませる。
③バターを伸ばす
バターを麺棒などで叩き伸ばしていく。溶けて来たら一度中断して冷蔵庫へ。厚さは大体1cmほどになればOK
④休ませた生地を伸ばし、そこへ伸ばしたバターを置き、生地で包み伸ばす。
クロワッサンと同じ工程です。層を作るためにバターをつつみ、ある程度伸ばしたら半分におり、また伸ばすを10~15回ほど繰り返す。
⑤伸ばした生地をラップで包み冷蔵庫で1時間以上冷やす。
溶けかけているバターを再度固めよう!

これでパイ生地は完成だ。

パイの中身~リンゴとカスタード~

次はリンゴのフィリングとカスタードクリームだ。
―林檎のフィリング―
①リンゴ一個をいちょう切りにして鍋へ投入。
②そこへ砂糖大さじ3をくわえ煮つめる。煮詰ってきたらレモン汁大1を投入。
③仕上げにシナモン小さじ1をくわえ軽くまぜて完成。

―カスタードクリーム―
材料
・卵黄 2個
・砂糖 50g
・薄力粉 大1
・牛乳 100~120cc
・バニラエッセンス 適量
①牛乳を温め沸騰する直前で火をとめバニラエッセンスを加える。
②牛乳を温めている間に卵黄と砂糖を混ぜ合わせる。白っぽくなるのが目安!
③薄力粉をふるいながら②に投入。よく混ぜる。
④ ③に①を少しづつ投入。よく混ぜる
※一気に入れよく混ぜらないとだまになる原因となるので注意!
⑤ ④を鍋に入れ、中火にかけながら木べらなどでかき混ぜる。
とろとろになったら完成!

焼成

いよいよ最終工程だ。
型に合わせてパイ生地を切り、そこにカスタードクリームを敷きつめ上に林檎を乗っける。
リンゴをのっけたら、パイ生地を編み目状に敷き、型の周囲を生地で囲む。
200~220度に予熱したオーブンで25分ほど焼いたら完成!

実食

完成したのがこちら
アップルパイ
なんだかそれっぽい!
が、型から外すのがまた一苦労。こんな時間にこんなにくったら間違いなく身体に悪い!
しかし頂きます!

見た目はアレだが味は良い。林檎の酸味とカスタードクリームの甘味が合わさってとても美味しい。そしてやはりシナモン!シナモン最高です!パイ生地を初めて作った割には意外とサクサクで良かった良かった。美味しゅうございました。

今後パイ生地は作らんぞぉ!


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食器棚を整理していたら、中から100均で買った紙の型が出てきた。

そして目の前にはホットケーキミックス。これはもう作るしかない。そんなわけで簡単に出来るパウンドケーキを作ってみた。




目次

  1. 簡単にできるその理由!
  2. バナナのパウンドケーキを作る!
  3. 実食

簡単にできるその理由!

その最大の理由は「ホットケーキミックス」の利用にある。
多くのホットケーキミックス粉は、一つの袋の中に200gに分けられた袋が何袋か入っている形式で販売されている。その袋を丸ごと使うことで計量の手間も省ける。さらにこの「ホットケーキミックス粉」はあらかじめベーキングパウダーなどが含まれている。これさあればある程度の粉系お菓子(クッキー・ケーキ・マフィン等)は手軽に作れてしまうのだ!

バナナのパウンドケーキを作る!

今回はこの「ホットケーキミックス」を使って作っていく。
材料は以下の通り
・ホットケーキミックス 1袋(200g)
・バナナ 2本
・バター 50g
・砂糖 50g
・卵 2個
・牛乳 50cc
・シナモン 小さじ1
ちなみに、ここに溶かしたチョコレートを加えてチョコバナナにしても美味しい!
今回はバナナの甘味をくわえているので、砂糖は少なめにしています。

手順
①すべての材料を室温に戻す
これが一番重要といっても過言ではない。特に卵・牛乳が冷たいままだとバターと分離してしまうので注意!

②バナナを荒めにつぶす!
完全にペースト状にするのではなく、形が少し残るぐらいがベスト!

③室温に戻したバターと砂糖を混ぜる
砂糖は一気にいれない!少しづつ入れてはかき混ぜを繰り返します!クリーム状になるまで続ける。

④室温に戻した溶き卵・牛乳を③にくわえて混ぜる。
※万が一分離してしまった場合は湯煎にかけてかきまぜる

⑤ホットケーキミックスとシナモンを④に投入!
ここではかき混ぜすぎないこと!ゴムべらなどでさっくりと!

⑥パウンドケーキ型に⑤を流し込む
生地を入れたら何度か型を持ち上げて落とすことを繰り返し空気を抜く

⑦180~200度に予熱したオーブンで約25分焼いて完成!

実食

完成したのがこちら
DSC_0115
100均の型の良いところはやはり安くて手軽なこと。しかし重みに耐えきれず横に広がることがあるので注意です。今回はその例となってしまいました。綺麗さにこだわる場合はやはり専用の型を買った方が良いかと思われます。

味はというとこれは文句なし!バナナの甘味とシナモンが絶妙のコラボレーションです!
さらに「ホットケーキミックス」を使う上でのネックである「ホットケーキミックス」の匂いは完全にシナモンが消してくれています。誰かにあげる際もばれることはないでしょう。

またバナナに変えていろんなものを入れることができるのがパウンドケーキの良いところ。自分の好きな食材でオリジナルのパウンドケーキを作ってみてはどうでしょう!?

しかし盛り付けがヘタクソだなおい!

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