この本読んどく?

オススメの小説や書籍、簡単料理のアレンジレシピまで幅広く紹介!

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スーパーをふらふらして気分転換していると、ついつい見てしまうのがおつとめ品のコーナーである。

そこでなんと「越後姫」を発見。ブランドのイチゴがシーズン外の痛みかけとはいえ200円とは安いじゃないか!

本来であればそのまま食べたいところだが、いけるか微妙な感じだったのでラッシーにすることに。そうしてしまえば見た目の悪さは気にならないのである!ということでラッシーとついでにチャイも作ることにした。





目次

  1. ラッシーを作る!
  2. ついでにチャイも作る!
  3. そして飲み干す!

ラッシーを作る!

ラッシーといえばインドカレー屋ではかかせない飲み物だ。ヨーグルトベースのラッシーが辛さを中和しまたカレーへと誘ってくれる。

さらにあのヨーグルトの酸味がまたたまらない。
暑い季節に辛いカレーを食べ、そしてラッシーで中和し、また汗をかきながらカレーを食べる。最高のひと時だ。

そんなラッシーだが、家でも簡単に作れてしまうのだ!今回はイチゴ・バナナ・キウイの三つを作ってみた。
―ラッシーの基本の分量(1杯分)―
・プレーンヨーグルト 100g
・牛乳 50cc
・水 50cc ←水で割ることでサラッとして飲みやすくなります!
・はちみつ 大1~3(甘さ控えめが好みの方は1でも十分美味しいです)

これを基本形としつつ今回は
・イチゴ 小粒15~20個
・バナナ 1本
・キウイ 1個
を投入。さらにイチゴ・バナナにはシナモンを、キウイには匂い的にカルダモンがいいかな?と思いカルダモンを一振り程度投入。後はジューサーでガーッとするだけである。

ついでにチャイも作る!

お次はチャイ。
人生で初めて入ったインド料理屋で初遭遇。ラッシーは知っていたので、聞いたこともなかったチャイを当時注文した。メニュー欄には「紅茶の飲み物」とあったのを記憶している。

運ばれて来たのは氷で冷やされたチャイ(アイスチャイはインドでは無いそう)。そしてガムシロが3つ。当然チャイがどんな飲み物か分からない私は普段通り紅茶を飲むようにストレートで飲んだ。

が、非常に苦い!
これには店員さんも苦笑い

後から知ったのだが、チャイとは紅茶を煮つめて作る飲み物なのだそう。当然、煮詰っているので味が濃くなるのである。しかし甘さを足して飲むと、普段とは違う味わいのミルクティーとなった。

さてそのチャイも自宅で簡単に出来てしまう!飲む際はぜひ甘くして飲んでほしい!
―チャイ1杯分―
・牛乳 100cc
・水 100cc
・紅茶葉 大1
・砂糖 大1
これだけあれば手軽にチャイが作れます!
手順は簡単。砂糖以外のものを鍋に入れ、強火で沸騰させるだけ。沸騰したら弱火にし、吹きこぼれないようにかき混ぜながら2~3分煮るだけでOK!

そして飲み干す!

そして完成したラッシーがこちら
DSC_0116
左からイチゴ・バナナ・キウイ

チャイがこちら
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味の感想だが、フルーツ入りのラッシーはやはりおやつ感覚として飲んだ方が良いかもしれない。
イチゴはその甘さと酸味がマッチ。イチゴの香りもして万人受けするものだろう。残念ながらシナモンはどっかに行ってしまった。

バナナはやはり濃厚だ。
蜂蜜入れなくてもいいんじゃないかというぐらい甘い。そしてやはりシナモンとの相性が良い。バナナの香りのあと微かに香るシナモンがバナナのしつこさを消してくれる。

キウイは酸味が強い。
ダントツで酸っぱい!甘目が好きだという方は蜂蜜多めを推奨します。ただこの酸味がまた良いです
キウイ×シナモンに不安を感じて急遽カルダモンに変更したが、個人的にはマッチしていると思う。キウイの匂いが強くないぶん、カルダモンの上品な香りがプラスされより爽やかに飲める。さすが女王。

チャイは使う茶葉によって味が変わると思う。今回はダージリンを使用。
このくらいの時間が苦味も出ず、紅茶の旨味と香りを楽しめると思うが、より濃い味をという方は長めに煮つめれば良いかと思う。砂糖入れて飲むとやはり美味。何かお菓子と一緒に食べたら最高のおやつタイムになるはず。ぜひお試しあれ!
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純文学畑にいながらも推理小説を書いた作家は意外と多い。

中でも有名なものが坂口安吾の「不連続殺人事件」だろう。今日は破天荒な人生を送った安吾が書いたこの「不連続殺人事件」を読んでみようと思う。




目次

  1. 破天荒な人・坂口安吾
  2. 「不連続殺人事件」を読む
  3. オススメ度

破天荒な人・坂口安吾

坂口安吾といえば「白痴」や「堕落論」「桜の森の満開の下」などで知られる作家であるが、実は純文学だけでなく、歴史小説や紀行文、随筆、そして推理小説まで手掛けた多彩な作家である。そんな安吾についてまず見てみたい。

坂口安吾は太宰治・織田作之助・石川淳らとともに無頼派(新戯作派)と呼ばれた純文学畑の作家だ。「純文学」と聞くと性や暴力、そしてどことなく暗いイメージを想起しがちだが、それはその人が書く本すべてに言えるわけではない。その人となりが文章に滲み出ているものが多いとしても(当然そうでなくてはならないのだが)笑えるものは笑えるのだ。純文学が苦手で距離を取っていた、という人は例えばその人が書いた短い随筆から入るといいかもしれない。その好例が太宰の「畜犬談」だ。これは青空文庫ですぐに読むことができるのでぜひ読んでみて欲しい。

安吾はどうか。
先にも書いたように、安吾は多作で多彩な作家だ。それぞれの好みのジャンルに合わせて入っていくのが良いと思うが、ここはせっかくなので随筆をオススメする。安吾の随筆はとても面白い。普通の日常・体験談をただ描いているだけなのに、そこから溢れる親近感はなんだろう。

また安吾と言えば「ゴミにまみれた部屋と安吾」の写真が有名だが、あの部屋の写真はだまし取られたものである。二年間まったく掃除をしていなかった部屋とその部屋をなんとか取りたい、というだけの「机と布団と女」という短い話もある。

さらには戦争に行っても死なないための工夫や努力を書いた「わが戦争に対処せる工夫の数々」も面白いのだが、とりわけ戦後日本の復興を支えたともいわれる「ヒロポン」の体験記「反スタイルの記」が抜群に面白い。当時軍隊でも支給され、薬局でも普通に売っていたヒロポンは覚せい剤なのだがその効果が詳しく描かれている。安吾曰く「とにかく、きく」。

「不連続殺人事件」を読む

そして安吾は推理諸説にも一家言持っていた。
「探偵小説とは」ではクリスティーを天才と褒め称え、「探偵小説を截る」では探偵小説の幼稚さを嘆き、「刺青殺人事件を評す」では乱歩の批評に反論し、今の日本では横溝が一番と語る。

そんな安吾が書いた探偵小説、それが「不連続殺人事件」である。
これは安吾が書いた初めての長編推理小説で、探偵役の巨勢博士が人物の心理、つまり動機に着目しながら推理を展開するという筋の小説だ。この「不連続殺人事件」は先の高木彬光「刺青殺人事件」と第二回探偵作家クラブ賞(現・日本推理作家協会賞)を争い、受賞している。また、雑誌掲載時には「読者への挑戦」として犯人当てに懸賞金がかけられたことでも話題となった。

いざ読んでみると、どことなく横溝物と雰囲気やテンポが似ている。
事の発端は推理小説の王道。多数の人物が一箇所に集められ、そこで謎やトラブルが起こり、ついに殺人事件へと発展。そして探偵役の巨勢博士が解決のために立上るというものだ。

純文学畑の作家が人間のどこに着目して推理小説を書いたか、「不」連続殺人とはどういうことなのかを考えながら読むときっと面白いだろう。ちなみにこの小説は登場人物が多く、そしてそれぞれ複雑な関係で結ばれているため非常に整理しづらい。相関図や登場人物を書き出しながら読むことでスムーズになるかもしれない。

余談ではあるが、雑誌が廃刊となり未完となっていた「復員殺人事件」の後半部を死んだ安吾にかわり執筆したのが高木彬光である。これもまたなかなか面白い縁ではないだろうか?

オススメ度

オススメ度★★★☆☆
面白さ★★★☆☆
セリフ回しにやや時代を感じるがそれでもオモシロイのが傑作たる由縁である。
不連続殺人事件 (角川文庫)

坂口 安吾 角川書店 2006-10-01
売り上げランキング : 46807
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時々無性に食べたくなるのがあのKFCのビスケット。サクッ、ふわの食感が堪らない。

だが近くに無かったりすると「あのビスケットのためだけにわざわざ……」と思ってしまうのもまた事実である。そんなわけで今回は自宅でKFC風ビスケットを作ってみる。




目次

  1. 憧れのビスケット
  2. 自宅でビスケットが食べたい!
  3. 実食

憧れのビスケット

私にとってKFCと言ったらビスケット!
バーガーもチキンも好きではあるけれど、やはりあのビスケットに比べたら霞んでしまうのだ。なぜあんなにも美味いのか。

サクッ、フワッのあの食感。そこに絡まるメイプルシロップ。そこに紅茶でもあればもう最高だ。至福のひと時である。

そんなわけで一時期毎週食べていたことがあったのだが、その時友人に言われたのが
「そんな好きなら自分で作ればええやん」
の一言。そうだ、自分で作ればいいんだ!そんなわけで自作ビスケットの研究会が起ったのである。

自宅でビスケットが食べたい!

まず作ってみたのが「アメリカのKFCで公開されている」というレシピだ。
しかしその通りに作ると生地がなかなかまとまらず、焼けたものを食べたらすごいしょっぱい!なんともアメリカンな仕上がりになってしまった。

当初、薄力粉中心に作っていたのだが、焼き立ては美味いがどうしても時間が経つと硬くなる。それも石のように。徐々に徐々に強力粉を増やして一番それっぽくなったのが、強力粉:薄力粉=3:1である。今回もそのレシピで作ってみた。ちなみにバターだが、ショートニングの方がより近くできるようではあるが、様々なことを考慮しバターでいくことにしている。

薄力粉 50g
強力粉 150g
バター 50g
ベーキングパウダー 大1
砂糖 大1
※バターが無塩なら塩ひとつまみ
牛乳+ヨーグルト(攪拌したもの) 100cc(牛乳:ヨーグルト=7:3)

これが一番近いのではないか?という結論に至った。

―手順―
①粉類とバターを攪拌し、ぽろぽろ状にする(見た目は粉だが手でつまんだら固まる状態)
フードプロセッサーがある方はそちらで!私はないので、ジューサーで行っている。
※ジューサーの故障の原因にもなる可能性があるのでフードプロセッサー推奨です。

②混ざったら、牛乳+ヨーグルトを投入し、木べら・ゴムべらで混ぜる。ある程度まとまってきたら手でまとめる。

③オーブンをあたためる。オーブンによって違うが、温度はおよそ190~220度で15~20分。
予熱をしている間、生地を伸ばす。のばしたものを折りたたみ、またのばすという作業を5回ほど繰り返す。完成したものは冷蔵庫で冷やしておく。

④予熱が完了したら生地を冷蔵庫から取り出し、成形。表面には牛乳か溶き卵を薄く塗る。

実食

そして完成したのがこちら。
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腹割れが少ししかなく微妙なできとなったが、やはり美味い。薄力粉を少なめにしているので、時間が経ってもそこまで硬くはならないが、焼き立てに比べればやはり味は劣る。ので焼き立てを食べることをオススメする。外はカリッ、中はフワッのビスケットの完成だ。

が、ここで肝心なことに気づく。
メイプルシロップがない!メイプルシロップがない!メイプルシロップがない!

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当時、陣中食として重宝された「味噌」
最近では美容や病気予防に味噌が良いという話もあり、その力が再注目されている。

そんなわけで今日は焼き味噌を作ってみようと思う。




目次

  1. 「家康」と「焼き味噌」の真実
  2. 焼き味噌を作ってみる!
  3. 実食

「家康」と「焼き味噌」の真実

味噌自体の持ちも良く、溶かして飲め、焼いて食べれる。さらには肉や野菜につけても食べることができた味噌は大変重宝された。

だが、今「焼き味噌」と聞いてまず最初に「家康!」と頭に浮かんだ人も多いのではないだろうか?
しかしながらこれは「山岡荘八」の創作である可能性が高いそうだ。
良く言われているのが対武田戦・三方ヶ原での敗走時に山県昌景に追い立てられ、恐怖のあまり漏らしたものを家臣の大久保忠世がからかい、家康が「これは焼き味噌だ!」と言いかえした話だ。
だがこれは山岡荘八以前の資料には見られないことらしい。司馬史観の影響力もそうだが(坂本竜馬とか)小説家の恐ろしさを垣間見ることができる。

が、三方ヶ原ではなく「一言坂の戦い」の段に怪しげな文章がある。
そこには上と同じようなやりとりが記されているのだが、その文章の終わりに「その日は出陣していなかったので、逃げるようなことはなかったはずだ。こんな妄言は削っておく」と一言添えてある。まるで「検閲により削除」を髣髴とさせる文章だ。

そう考えると一言坂でのエピソードを転用しただけで、実際は漏らしていた可能性も否定できないようである。この対武田撤退戦は様々なエピソードがあり大変面白いので調べてみて欲しい(茶屋の婆とか)

焼き味噌を作ってみる!

焼き味噌を作るたってただ焼くだけじゃないんかい?
そう思って調べてみると、確かに焼くだけの兵士が多かったが、中には葱や胡麻、生姜などをまぜて焼いていた例もあるようだ。確かにそっちの方が焼き味噌らしい。それにより美味しそうなので今回はそれで作ってみよう。

手順は簡単。
胡麻油をしいたフライパンに刻んだ生姜・葱・胡麻を入れて炒め、火が通ったら味噌を投入し、しばらく炒める。味噌にある程度火が通ったら、しゃもじに塗りつける。それを直火で焼いて完成だ。

実食

完成したものがこちら。
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味噌が焦げた香ばしい匂いと、生姜と葱の香、そこに仄かに甘い匂いが混じり大変食欲をそそる匂いだ。ただ焼いてあるので、水分がとんだ分味は濃い。信長が好きだったというのも頷ける。濃い味の中に生姜のアクセントが効いている点はポイントが高い。白いご飯と日本酒、どちらかが欲しくなる味だ。一度ぜひ作ってみて欲しい。


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先日「兵糧丸」を作るために蕎麦粉もろもろを買ってきたが、やはり余った。

そこで蕎麦粉を何に使うか検討した結果過去にうまくできなかった「ガレット」に再挑戦ということに決まったのである。今回は「蕎麦粉のガレット」を作ってみた。




目次

  1. ガレットとは!?
  2. 実際にガレットを作ってみる
  3. 実食

ガレットとは!?

「ガレット」とはフランス北西部の郷土料理だそう。「円く薄いもの」を意味しているそうだ。
特に蕎麦粉で作られるものをそう呼んでおり、小麦粉で作られる「クレープ」のもとになったようだ。

思い浮かぶものは卵にチーズ、ハムを乗っけたいたってシンプルなものだが、他にもサラダや魚、肉類などをトッピングしたものや、デザートとして食べるガレットなんかも存在している様子。食べる側のニーズに合わせて成長している郷土料理といえよう。

実際にガレットを作ってみる

そんなわけで「ガレット」を作ってみる。
蕎麦粉100%のものが主らしい。が調べてみると、牛乳や卵が入っているものなど様々。
悩んだ結果とりあえず今回は「蕎麦粉・卵・冷たい水」で作成してみることに。
何枚も食うわけではないので、
蕎麦粉 50g
水 100cc
卵 1個
で生地を作成。トッピングはシンプルに「卵・ハム・チーズ」
今回はこの分量で二枚分焼けた。
※今回は生地を寝かせていないです。

いざ作ってみると、以前(といっても数年前)作った時はカリカリになり過ぎて折れなかったのだが、今回はカリカリになってくれない!そして色が薄い!なぜ!?

さらに冷蔵庫の中にはトマトや緑が無い!色どりが!

実食

紆余曲折あって出来上ったのがこちら
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とりあえずマジックソルトと黒こしょうで誤魔化した。
味は良い。やはり卵・ハム・チーズの相性は抜群だ。ここにアスパラやトマト、キノコが乗ったら見栄えも良くなったろうと思うと残念。生地ももう少しカリカリさせたい。卵がいかんのか!?
もしくは生地を焼くときに厚くしすぎたか……? いやいや水の分量か? いや生地を寝かせずいきなり作ったのが悪かったのか?これか!?
謎は深まるばかりだが、蕎麦粉自体はまだ大量に余っているのでリベンジ案件である。

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なんだか最近寝ても疲れが取れない。集中力も続かない。そんなこと、ありませんか?

そんなときにはこれ!

そう、兵糧丸だね! そんなわけで今日は戦国の携帯食である兵糧丸を作ってみようと思う。
※兵糧丸はあくまでも携帯食ですので、食べた途端元気になるわけではありません!




もくじ

  1. 兵糧丸とは……!?
  2. 実際に兵糧丸を作ってみた
  3. 実食

兵糧丸とは……!?

兵糧丸とは主に戦国時代、忍者によって使われていた携帯保存食だ。
手軽に食べれ、かつ栄養も取れるものであったようだ。山本勘助が記したとされる「老談集」には兵糧丸のレシピも載っているようだ。

現在、「兵糧丸」は小説やゲームの影響で結構な人が耳にしたことがあるはずだ。
徐々に体力が回復したりだとか、体力が尽きても半分まで回復したりだとか、一回食べれば数時間もつだとか様々な効果があるよう。まさに今の日本にうってつけではないか!

そんなわけで実際に作ってみようと思う。

実際に兵糧丸を作ってみた

なるべくその時代に近しいもので作ろうと思う。
そんなわけで「砂糖」は却下。入ってきていたとは言っても、まだまだ高級品なはずだ。そんな代物を携帯食に使うだろうか。本来であれば「甘草」や「甘葛」を使いたいところだが現在ではむしろこっちの方が入手困難なのである。なので「蜂蜜」で味を調えることにした。
大まかな材料はこちら
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今回は
蕎麦粉 100g
きな粉 25g
餅粉  25g
くず粉 25g
きび粉 25g
の蕎麦粉メインの配合で行うことに。

ここにカツオ節粉 1パック
黒ゴマ 大1
すりごま 大1
胡麻油 大1
酒 大3
蜂蜜 大3
きざんだ梅干し 5個
を別途投入。硬さをみながら水をたしこねる。

生地がまとまったら、ピンポン玉サイズにまとめる。
そして今回は「蒸し」で調理。20~30分蒸して完成。  

実食

完成したのがこちら
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なんだか黒糖団子のよう。
味は「ほぼ胡麻」。蕎麦の香りときな粉の香ばしさはどこかにいきました。
餅粉を少なくした関係からかやや硬めでべたつきは無し。
甘さは無し。煮つけにしてもそうだが、やはり蜂蜜大3程度じゃ甘くはならない。砂糖恐るべし。
咀嚼の途中、僅かに梅干しの酸味と鰹節の香りがするが問題なし。むしろ梅干しは程よいアクセントとなっていて意外と美味しい。鰹節は量的に主張は控え目。これで正解だと思われる。

肝心の腹もちだが、検証した結果「二つ食べて八時間は腹が減らない」という感じ。
※私が小食でした、ということはないのでかなりコスパは良いのではないだろうか。

「上杉家流」ではこれを乾燥させて酒につけてを繰り返す?らしい。余ったものは取りあえず乾燥させてまた食してみようと思う。また山の近くでは鶏卵を、海の近くでは干物を砕いていれることもあったそう。機会があればチャレンジしたいものである。

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書店をふらふら歩いていると、偶然思わぬ発見をすることがある。その本が当たりであれば得した気分にもなれるものだ。

今回紹介したい本はそんな偶然から発見した本「毒草大百科」である。名前からして怪しげな本を今日は見てみようと思う。




目次

  1. 「人を死に至らしめる植物」
  2. 「人を狂わせる植物」
  3. 「人を苦しめる植物」
  4. 「個性的な毒を持つ植物」
  5. 「毒草栽培のための知識と設備」
  6. 「毒草を利用する」
  7. オススメ度

「人を死に至らしめる植物」

内容に入る前にまず帯を見て欲しい。
そこには「毒草の入手法、栽培法、利用法―全ての毒草を写真や図で解説―」とあるのだ。これを見て買わずにいられるだろうか? おバカ本なのか、至極真っ当な本なのか? というか、「利用法」ってなんだよ、と(しかしながらミステリーの創作には使えるかもしれないが)思わず突っ込みが入る。

この本は6章構成となっている。それぞれの章から気になったものを一、二個抜き出してみようと思う。

「彼岸花」
個人的には日本で一番人を殺害した植物なのではないかと思っているこの彼岸花。秋になると美しい花を咲かせるこの植物、実は毒がある。しかしながら日本では飢饉の際の非常食として用いられていた歴史があるのだ。いわば最後の砦である。含まれる毒の多くが水溶性のため念入りに下ごしらえをすれば食べられないことはないのだが、十分でなかったりなどで死に到るケースが多かったようだ。

さて本書での見どころはやはり「入手方法と栽培方法」だ。これが面白い。
入手方法は園芸店での購入である。そう、買えてしまうのである。「8~9月は赤い花の品種なら球根三つで600円前後」と値段まで教えてくれているあたり非常に親切である。しかも「白やピンクなどの珍しい色の場合は1球で500円となる」となるらしく、値段は高いが奥井氏はこちらをオススメしている(ん?なんの本だっけ?)ちなみに採取する場合は5月に球根を痛めないように採取するのがベストらしい。

栽培方法はというとなんと丈夫なので栽培は簡単とのこと。そう、素人でも簡単に栽培できてしまうのである。さらに鉢替えのタイミングや栽培のポイント、肥料の有無なども詳しく説明されており大変心強い。

ちなみに中毒症状は嘔吐・悪心・下痢・脱水ショックなどである。

「人を狂わせる植物」

「ベニテングタケ」
この「人を狂わせる植物」の章は大変面白い章で、ヤバさもMAXなのだが、比較的内容が安全であったこちらを見てみよう。
「毒キノコ」と言えばやはりこの「ベニテングタケ」か「カエンタケ」を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。見た目が「あのスーパーキノコ」にそっくりである。またディズニーの映画などにもこの赤と白の可愛らしいキノコはしばしば登場している。

入手方法は残念だが店舗に置かれることはないかつ、今回はキノコというだけあり個人での栽培は難しいので自然の恵みを待つのがベストとのこと。しかし、自生地で有名な場所を掲載してくれている。
またこれは有名な話でもあるが、毒キノコは旨味成分を多く含むものが多い。そしてこの「ベニテングタケ」も例外ではなくグルタミン酸の20倍の旨味成分を持つイボテン酸が含まれている但し毒物である)。どうやら海外では酒に漬けて薬用として飲む場合もあるようだ。

またトリップを楽しみたい場合の調理方法の諸注意や、どれだけ食べたら死ぬかの本数の目安まで掲載されている。症状としては失調・昏迷・錯乱・幻覚・麻痺など。

「人を苦しめる植物」

「ジャガイモ」
様々なものに加工され皆に愛されている「ジャガイモ」。去年の台風の影響で今年はジャガイモの収穫が減り、ピザポテトなどが店頭から消えてしまった。

そんなジャガイモであるが、入手方法はやはりスーパーである。値段もしっかり記載されていて面白い。
また栽培するならスーパーのジャガイモではなく、園芸店で販売されている「種芋」にせよとのアドバイスも嬉しい。栽培方法に関しては「小学生の時のことを思い出せ」と一言。しかし、多くジャガイモを収穫するためのコツなども記載されており、自宅でジャガイモを栽培しようと言う人は一度読むべき本だろう。

ジャガイモの芽が毒だ、という話は皆知っていることだろう。しかし奥井氏が警告するように、ジャガイモの芽の毒性を熟知している人は少ないのではないだろうか?
保有する毒の成分はソラニン。主にジャガイモから出る芽に含まれている。その中毒症状は恐ろしく、嘔吐・下痢・食欲減退・呼吸困難・昏睡などから死にいたることもある。

この問題の「芽」であるが、ずぼらな人なら経験があるかと思うがほったらかしにしておくと勝手に生えてくる。なので容易に採取できる。 また、日光に良く当てるとよりよいソラニンが形成されるらしい。だが安心して欲しい。ソラニンは熱で簡単に分解されてしまうのだ。

「個性的な毒を持つ植物」

ここでも様々な植物が紹介されている。
驚きなのが「ポインセチア」の発がん性というもの。茎や葉を傷つけたときに出る白い乳液に「フォルボール」が含まれているとのこと。

この「フォルボール」は水ぶくれや炎症を起こすだけと考えられてきたが、研究の結果発がん性作用があることが判明したそうだ。理論的には「焦げた焼き魚を食べた後、デザートにポインセチアを食べればガンになる」とのこと。

「毒草栽培のための知識と設備」

本書の最大の見どころであるのがこの章だ。
私は現在市販の種からアボカドを育てている最中なのだがこの章の内容は非常に役に立つ。奥井氏の植物栽培への情熱が見てとれる。

特に「用土の種類と特徴」は必見だ。8ページに渡り、土の成分から利点と欠点をあげ組み合わせなどを書き連ねている。さらに市販されている培養土が植物に合っているかどうかきちんと調べることと読者には念押し。オリジナルの培養土の作り方なども載っており園芸初心者には非常にためになるものである。

また植物の病気やその対処法、害虫駆除の方法も細かく記載されている。

「毒草を利用する」

利用方法についても勿論記載がある。
利用するための抽出方法や作成方法(煎剤・青汁・酒剤・浸剤・散剤・塗布剤・入浴剤)などであるが、その作業の時の注意点も細かく書いてあり、面白く読める。

オススメ度

オススメ度★★★☆☆
面白さ★★★☆☆
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御嬢様学校というものは今も昔も羨望の的なのだろうか?

実際の御嬢様学校の実態などはまったく私はわからないが、少なくともこの「暗黒女子」の世界においては生半可な覚悟では生き残れない苛酷な世界のようである。

今日は現在映画公開中でもある「暗黒女子」を見てみようと思う。




目次

  1. 秋吉理香子ってどんな人?
  2. 「暗黒女子」を読む
  3. ネタバレ感想
  4. オススメ度

秋吉理香子ってどんな人?

秋吉理香子氏は2008年「雪の花」でYahoo!Japan文学賞を受賞。2009年に雪の花を含む短編集でデビューした作家だ。他にも「聖母」「自殺予定日」「サイレンス」などの小説が現在刊行されている。

「暗黒女子」を読む

まず読んでみて思ったのは、作者は短編形式のほうが得意なのだろか? ということだ。
他の小説を読んでいないのでなんともいえないが、デビュー作も短編集のようだし、二作目にあたる本作「暗黒女子」も短編集のような形式だ。短編集は昔から売れない売れないと言われ続けているだけに、二作目はなんとか長編に持って行こうとした結果の構成だったのではないかと思われる。

そしてその短編集形式の構成が上手く機能しているのがこの「暗黒女子」だ。
小説内の人物も語っているように、学校内では主導権争いによる駆け引きが日々行われている。「誰かを貶め踏み台にし自分が上に行く」という学内生活の縮図を短編集にすることで巧く表現しているように思える。

作者が女性だけあって、現実世界の女子会もこんなことが頻繁に行われているのではないか?と疑ってしまう。表面上は仲良く見せても腹の探りあい。誰がどんな男と付き合っているか。どんなブランドを身に着けているか。どんな店をしっているか。服装は。等々どうにかして誰かの上に立ちたい、主導権を握りたいという裏の目的があるのではないだろうか。

「暗黒女子」は現在映画公開中である。
映画公開は知っていたがキャストを見て驚いた。主演に一時世間を賑わせた清水富美加の名があるではないか。また平愛梨の妹である平祐奈も名を連ねている。映画のほうは無事公開もされBD販売も決定しているそうだ。
さらに映画公式HPの「裏予告」が大変怖い。鳥肌が立った。こちらも一度見てみることをお勧めする次第である。

ネタバレ感想

面白いのだが、ミステリーとして見るとやはり弱いのかなと思ってしまう。
おそらくミステリーを読み慣れた読者は「目次」を見た時点でおおよそのストーリーと流れ、犯人と結末が分かってしまったのではないだろうか。自作小説でお互いに非難し合い、堂々巡りになるが実際手を下したのは一番の親友で、自分が主役に成りたかったからというパターンである。

そんなことを考えつつ読み進めると、案の定そのままの流れとなってしまう。
しかし三人目の自作小説内で担当顧問である「北条」の存在が明らかになると、「主役に成りたかった説」が少し揺らぐ。というのもこの女子が主役の小説で男性が出てきているということは、どう考えても登場人物の中のだれかと出来ているに違いないからである。犯人は間違いなく小百合であることを考えると、実は北条と小百合が出来ていたが、それを知りつつ応援しつつも裏で北条といつみが出来ているという、寝盗られ動機なのかなとも考えてしまう。

しかし実際は単純なように見えて深いものだ。
「互いに告発し合う輪」の中に入っていなかった小百合はどう考えても怪しい存在だなとこの頃になれば皆気がつくだろう。そして動機は結局のところ「自分が主役になるため」というものだった。
 
しかし、ここからが難しい。果して本当にいつみは死んでいるのだろうか?

まず小百合がいつみを殺す必要があったのだろうか? と疑問が持ち上がる。
普段からいつみの側にいて、いつみの秘密にも協力しており完全に感化されている小百合である。とするならば、殺すのではなくいつみと同じように相手の弱味を握りコントロールするのではないだろうか。小百合はいつみどころか澄川家に対しての弱味を握っているようなものだ。何も主役を交代するために殺す必要があったのだろうか。

この説をとると、結局のところいつみは生きており、いつみと小百合の復讐劇となる。メンバー達には恐怖を味わわせ、いつみに新たな生活を守るために自分が殺したことにし、それを仲間たちと分かち合い自分が犠牲になるというものだ。素晴らしい友情ですね。

しかしながらこの説では小百合だけ白いままでフェアではない。
とするとやはり「カニバ」に戻ることになる。この場合、伏線や環境設定がしっかり結末と絡んでいるので恐らくはこちらが正しい(様々な疑問点は残るが。例えば解体したとして、メンバーはその臭いに気づかないものなのか?という問題。闇鍋では嗅覚も敏感にとあるのだし、気づいてもおかしくはない)のだろうと思う。というのも、キリスト教系のお嬢様学校という陳腐な設定が生きてくるのだ。

小百合がいつみを殺したのも過度の信仰心故と考えれば納得できる。今まで崇拝していた偶像を突然失ったら急に反教徒になる現象を考えれば自然なことだろうと思えるのだ。また、最後のカニバの場面でもキリストの身体を分け与えるという例を持ち出し上手くキリスト教に繋げている。やはりこちらの方がしっくりくる。

しかし、小百合の今後はどうなるだろうか。
自分自身の罪を仲間と共有し、しかも仲間達の弱味を握る脅迫者の立場にたった小百合。いつみよりも物事の計画を立てるのが上手く、いつみの側で様々なことを学んだであろう小百合。「怪物」と表現するのがふさわしいようだ。しかしながら、御約束通り、脅迫者は殺されるし怪物は退治される運命にある。主役交代の日は意外と近いかもしれない。

オススメ度

オススメ度★★★☆☆
面白さ★★★☆☆
終わりよければすべて良しの好例だろう。ミステリー初心者にもイヤミス初心者にもお勧めだ。
暗黒女子

秋吉 理香子 双葉社 2013-06-19
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平安貴族や武家貴族、公家や華族など日本にも様々な貴族階級の人間がいた。

そんな貴族たちについて私たちはどんなイメージを持っているだろうか?
今日はおよそ貴族らしい探偵が登場する「貴族探偵」を見てみようと思う。




目次

  1. 麻耶雄嵩ってどんな人?
  2. 「貴族探偵」を読む
  3. 「こうもり」について(ネタバレあり)
  4. ドラマ「貴族探偵」を見て思うこと
  5. オススメ度

麻耶雄嵩ってどんな人?

麻耶雄嵩氏もあの京大推理小説研究会出身である。そこで知り合った綾辻行人・法月綸太郎・島田荘司の推薦をうけ1991年「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」でデビューした。

さらに2011年には「隻眼の少女」で第64回日本推理作家協会賞・第11回本格ミステリ大賞を受賞。2015年には「さよなら神様」で第15回本格ミステリ大賞を受賞した。この「さよなら神様」は7月に文庫化も予定されており、そちらも楽しみである。

また麻耶氏は「独特の世界観」や手法が特徴的であり、その癖のある作風はマニアの心を掴んで離さない。だが、前情報なしの初見で挑むといささか面食らうこともあるので注意が必要だ。

「貴族探偵」を読む

「貴族探偵」は2010年に単行本で刊行され、2013年に文庫化された。この本に収録されているのは五つの短編なのだが、それぞれ発表された時期に開きがある。
・「ウィーンの森」は小説すばる2001年2月号
・「トリッチ・トラッチ・ポルカ」は小説すばる2001年9月号
・「こうもり」は小説すばる2007年4月号
・「加速度円舞曲」は小説すばる2008年4月号
・「春の声」は小説すばる2009年9月号
と、トリッチ・トラッチ・ポルカとこうもりの間は約6年ほど期間があいている。
ネットでは「こうもり」以降は出来も良く面白いが、前二作は微妙な出来だと目にすることが多いが、果してそうだろうか?

確かにこれがシリーズものではない単発ものだとしたらその評価には納得できるが、短編集として編まれた場合前二作は導入と定着の仕事をしっかり果たしていると思うのだ。
「ウィーンの森」で「貴族探偵」とはこういうものだと読者に紹介し、「トリッチ」では毎回このパターンですと読者に釘をさす。そして「こうもり」で活躍を見せつけ、余韻をのこしつつ去って行く。
とすると、「ウィーンの森」で一番着目すべきは「貴族探偵」がどのように我々の前に現れたかではないだろうか。事実「ウィーンの森」での登場の仕方が一番図々しく、印象に残るようになっているはずだ。

またこの「貴族探偵」は麻耶氏の他の作品と比べると癖が比較的抑えられている気がするのも事実だろう。「麻耶ワールド」なるものを感じることは少ない。しかしながらそこはやはり麻耶氏の書く小説である。この貴族探偵は探偵と言いつつも自身は全く探偵らしいことはしない。いわゆる安楽椅子探偵でもない。そこに麻耶氏の拘りが感じられる。

また登場人物の名前が変に奇を衒っていないのが良い。普通の探偵小説であれば探偵が推理するのでどんな名前をつけようが注目されることになる。しかし「貴族探偵」では貴族探偵が探偵の役割を放棄している。推理を披露するのは召使いたちなのだ。ではどうやって「貴族探偵」の存在感をアップさせるか。それは召使いたちの名前をよく耳にする名字にすることで解決していると思われる。それぞれ山本・田中・佐藤とすることで変にかれらがでしゃばって来ることがないのだ。彼らを下げることで貴族探偵を上げていると思われる。

「こうもり」について(ネタバレあり)

各方面で話題の「こうもり」。確かにすばらしい出来だった。
これを読んで思い出されるのは麻耶氏の長編小説である。
トリックとしては逆叙述+替え玉
しかしこの逆叙述というものが曲者で、登場人物は知らないが、読者は知っているというものなのだ。登場人物はてっきり知っていると思っていたと、ここに驚きが生じる。
今回の場合、絵美と紀子が貴生川を大杉と思っていた、つまり二人一役を認識できていなかったこと、そこに貴生川を貴生川+大杉の二人に見せかける一人二役のトリックが働いている。
また読者に対して貴生川を貴族探偵と誤認させること、絵美の彼氏だと思わせることで貴生川を嫌疑の外に置くよう仕向けている。
伏線もしっかりあるのだが、非常に巧妙に仕組んであるためなかなか気づかなかった。短編でよくここまでという素晴らしい出来である。

ドラマ「貴族探偵」を見て思うこと

初回放送が終わった後は大絶賛の嵐だったらしい。原作ファンも嵐ファンも納得の出来だったと。それは本当だろうか? 私は正直見ている最中に恥ずかしくなってきて消してしまった。

昨今視聴率が下がり、製作費が少なくなる、そしてまた視聴率がとれないというループに嵌っているドラマ。脚本家の書き下ろしにしても率がとれないのであまり払えない。そこで各局が血眼で探しているのはすぐドラマ化できそうな「ミステリ小説」らしい。そしてドラマ化の必須条件となっているのが、「美しく、強い女性の活躍」なのである(イケメンで強い男性ではだめらしい)。そうして見てみると、たしかに最近ドラマ化されているものの多くはこの必須条件にほとんど当てはまるようだ。原作には全く関係ない女性キャラが登場するのはこういう理由がある。そんなわけで「貴族探偵」は麻耶氏が意識していたかどうかはわからないが、ドラマ化の必須条件を満たしていたといえる。

また各話にその話限りのヒロインを登場させることができるのもこの小説の強みであろう。これで女性役もさらに確保でき、パターンの打破に光りがみえる。さらにこの「貴族探偵」が短編集であったことも有利に働いたはずだ。

「すべてがFになる」のアニメとドラマを思い出していただきたい。
まずドラマはF~パンまで前編・後編という形で放送したが、これは成功したとは言い難い。というか酷かった。一つの話を二週に分けて放送するのは最終回だけなら特別感があっていいかもしれないが、常時だとこちらの興味を失わせかねない。が、長編を一時間枠でやるのはやはり無理がある。

一方アニメは1クールすべてFを放送した。だが、これだと毎回谷・山を作りづらく見ていて飽きてしまう可能性がある。

だが、短編では作者があらかじめ谷・山を作っているので深く考える必要がない。
そう。深く考える必要はなかったのだ。原作のまま、メイドも変に年上にせず、若いままでよかったのだ。そこにギャップがあったのだ。それを構成か脚本家か知らないが原作の良さを完全に潰してしまっている。

そして駄目押しは「鼻形雷雨」というオリジナルキャラクターの登場だ。まず名前が駄目。せめてもっとオリジナリティあふれる名前にしてほしい。しかもこの性格付けが最悪である。貴族探偵の周りは良くも悪くも個性的な人物達で固められている。なので彼らを周囲から浮いているようにしなければならないはずであった。つまり個性的な人物は貴族探偵の周辺だけで良かったのだ。オリジナルの警察キャストを出すのであれば、こんな三文芝居のような人物ではなく、しっかりとした警察ドラマのような人物を出すべきであった。鼻形に関しては最近不要論が起っているらしいが、そんなもの最初から不要である。叩き上げの段階でもう終わっている。キャストが豪華で、実力がある人たちも揃っているだけに本当に勿体ない。

そして小説を読み返して思ったが、この「貴族探偵」はコメディの皮を被った別ものなのでないか。コメディとして考えてキャスト組んだ場合たしかにベストの布陣に見えるがそうでなかったのではないか。だからちぐはぐ感が漂っているのではないだろうか。

オススメ度

オススメ度★★★★☆
面白さ★★★☆☆
癖もなく万人受けするはずだ。ドラマを見限った人も小説だけは読んでみて欲しい。
貴族探偵 (集英社文庫)

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大阪万博から数十年経った今でも尚多くの人に愛されている「太陽の塔」

そんな「太陽の塔」に魅せられた女性が、森見氏デビュー作の「太陽の塔」に登場する。
今回はそんな「太陽の塔」に魅せられた女性とその女性を研究する男の物語を見てみようと思う。


目次

  1. 森見氏の過去記事はこちら
  2. 「太陽の塔」を読む
  3. 森見リンク・小ネタ
  4. オススメ度

森見氏の過去記事はこちら

夜は短し歩けよ乙女
2006年に刊行され、今年アニメ映画化もした「夜は短し歩けよ乙女」怪しげな人物や団体に翻弄される二人の運命や如何に?

ぐるぐる問答
森見氏初の対談集。様々な人物との対談を収録。モリミスト必見・必携。

「太陽の塔」を読む

「太陽の塔」は森見氏のデビュー作。2003年の「日本ファンタジーノベル大賞」を受賞し、その後山本周五郎賞を受賞、直木賞ノミネートに至った。

さてこの「太陽の塔」だが、後の森見氏の行く末を決定付けているかのようである。この太陽の塔の時点ですでに後につづく「腐れ大学生物」が出来上っている。デビュー作ながら「森見節」満載なのだ。

そんな太陽の塔なのだが、実はこの小説はヤケクソで書いたものだったらしい。それまではいたって普通の小説を書いて応募したいたのだが中々結果が出ない。そこで自身が大学時代サークルのノートに書いていたような小説をダメ元で送ったそうである。その結果「太陽の塔」でデビューするのだから何が役に立つか分からないものである。それが小説を書く上での面白い事なのかもしれない。

「森見節」満載のこの小説。もちろん主人公は「私」こと「腐れ大学生」である。しかも「休学中の五回生」ときた(桃色のキャンパスライフを夢見て日々奔走する新大学生は多いと思うが、意外にも五回生は多い。シビアな所だと卒論提出1分遅れて留年というところもある。五回生になるとどうなるか。それは呼び名が「長」とか「ボス」になる。あまり嬉しくはない)
この休学中の五回生というだけでなんだか「私」からは胡散臭さがにじみ出ているようである。しかも登場人物は「私」と同等かそれ以上に個性的な人物ばかりなのだ。そんな人物達が様々な騒動を巻き起こしていく。

そんな「私」が大学を休学してまでしていることは何か。それは自分を振った女性「水尾さん」を研究することである。その内容はというと、『研究内容は多岐に渡り、そのどれもが緻密な観察奔放な思索、および華麗な文章で記されており、文学的価値も高い』のだ、とのこと。しかも四百字詰め原稿用紙に換算して240枚。およそ9万6000字である。これを見ても分かる通り「私」がしていることは完全に研究という名のストーカー行為なのである。
しかしこれだけでは森見氏にここまで多くの女性ファンは出来なかったであろう。これで終わったら出来の悪いミステリーか気持ちの悪い男の話になってしまう。が、そうならなかったのはおそらくこの文体と、もう一人のストーカー「遠藤」との不毛な戦いがあるからだろう。

また「私」は「水尾さん」の研究をしていると言いながらも我々に前にはほとんど水尾さんは姿を現さない。情報が少なすぎるため実在するのかも怪しい「水尾さん」。植村嬢は登場場面が少ないながらもその存在感をしっかり発揮しているのに対して「水尾さん」は実在感が乏しく、透明のようである。その分なんだか浮いて見えるとともにミステリアスにも見えてくる。

さらにこの小説の登場人物はほとんどが男だ。しかもどこか哀しい雰囲気をそれぞれが纏っている。森見氏は我々読者にこれでもかとそんな哀しげな男達を投げつけてくるが、そんな男たちはどこか可愛らしく、憎むことができない。ここも女性に人気の秘密だろうか?

登場人物がハチャメチャなことをしながらもしっかりと青春小説となっているところもまた面白い。いや、ハチャメチャなことができるのは青春時代だけなのかもしれない。

そしてやはり「文字遊び」が面白い。「京大と絶縁状態」とか「右の拳をやや固めに握った」とか。この「やや固め」というところに「私」の特徴というかその人らしさが垣間見えている気がするのだ。圧巻は最後の「ええじゃないか騒動」だ。怒涛の「ええじゃないか」が登場人物と読者を襲う。「ええじゃないか」に押しつぶされそうになりながらも、やはりページをめくる手は止まらない。

この森見氏デビュー作の「太陽の塔」。これは森見氏全部詰という感じがするのは私だけだろうか。書きたいことはここに全部書いた。あとはここから少しづつ取り出して、それをまた妄想により拡大し小説として書いているのではないだろうか。とにかく森見ファンには贅沢な本である。

森見リンク・小ネタ

森見氏の作品に登場する人物や団体は他の小説にも登場することが多い。
・高藪智尚→「宵山万華鏡」に登場。

・ゴキブリキューブ→アニメ版「四畳半神話体系」に登場。麻薬的な輝きを放ち表面は常にざわついている。

・まなみ号→主人公の愛車まなみ号。名前の由来はもちろん「本上まなみ」さん。対談を行っているが緊張しすぎてほとんど話せなかったそう。

・猫ラーメン→四畳半神話体系にも登場。じつはこの屋台、モデルが存在しているようだ。時折出町柳に現れるらしく味は絶品とのこと。

・「砂漠の俺作戦」について
これはおそらく関西で有名な都市伝説の一つを元ネタにした小話と思われる。
その元ネタは梅田のHEPの観覧車に乗ると二人は別れるというもの。これは結構有名らしく、私も数人の知人から話を聞いたことがある。小説内では飾磨がHEPの観覧車がきっかけで彼女と別れている。

オススメ度

オススメ度★★★☆☆
面白さ★★★☆☆
森見氏入門には持って来いの本書。「夜行」や「狸」から入った人も遡って読んでみてはいかがだろうか?
太陽の塔 (新潮文庫)

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